土田氏(読み)つちだうじ

改訂新版 世界大百科事典 「土田氏」の意味・わかりやすい解説

土田氏 (つちだうじ)

能登国羽咋(はくい)郡土田荘周辺(現在の石川県羽咋郡志賀町の南端付近)を開発本領とする中世能登国の豪族。治承・寿永の内乱に際し,1183年(寿永2)4月下旬,平氏派遣の追討軍と越前国燧谷(ひうちだに)で戦った北陸道の反乱軍のなかに〈土田〉氏がいたことが,《平家物語》などに見える。以後,土田氏の動きは鎌倉期には知られないが,南北朝内乱期の1340年(興国1・暦応3)能登守護吉見頼隆(よしみよりたか)の軍奉行(いくさぶぎよう)に土田十郎右衛門尉が見え,同族の土田安察房(あぜちぼう)も吉見軍に従っており,当時,土田氏は吉見氏の有力被官となっていたらしい。また戦国末期の1573年(天正1)にも,大名畠山義慶(七尾城主)の家臣として〈土田殿〉の存在が知られる。羽咋郡館(たち)村(中世の土田荘域)の地名は,土田民部正の館に由来するものとされ,土田荘に隣接する羽咋郡甘田保の滝谷妙成寺(能登法華教団の中心寺院。羽咋市滝谷町所在)の開基館中将監(たちなかしようげん)(柴原氏)は,土田弾正忠広の代官(被官)であったとも伝えられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の土田氏の言及

【朝夕】より

…江戸幕府も鎌倉・室町両幕府の故実にならって同様の役職を置いたが,その正式な名称を〈公人朝夕人〉という。公人朝夕人は同朋頭の支配に属し,土田氏一人のみの世襲の職となっていた。そしてその役目は,将軍上洛参内などのときに,小用筒を持って供奉することのみに限定されている。…

※「土田氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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