一般的には、地方に居住し権勢を有する一族のことをいう。しかし、歴史的には、地方居住者に限らず、王族ではない有勢な一族をいう場合がある。律令(りつりょう)国家以前のいわゆる大和(やまと)王権のもとにおいては、5世紀以降王権に結集してきた大和(奈良県)、河内(かわち)(大阪府)などに本拠をもつ臣(おみ)・連(むらじ)などの姓(かばね)をもつ氏族を中央豪族、また地方にあって国造(くにのみやつこ)・県主(あがたぬし)に任ぜられた直(あたい)・君(きみ)などの姓を有する氏族を地方豪族とよんでいる。律令国家のもとでは、豪族といえばもっぱら地方豪族のことで、王族および五位以上の貴族に対比される概念として使われる。律令制下の地方豪族の多くは郡司(ぐんじ)あるいは国府の下級官吏に任ぜられ、地方行政の末端を担った。中世では、地頭(じとう)や荘官(しょうかん)・下司(げし)などの階層に対して用いられるが、とくに室町時代以降は、地侍(じざむらい)や公文(くもん)・沙汰人(さたにん)などを土豪とよび、豪族の概念は用いられなくなる。江戸時代以降においては、豪族・土豪とも使われず、かわって豪農・豪商の概念が用いられるようになる。
[原秀三郎]
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前漢中期から地方で勢力を持った同族集団をいい,後漢には皇帝権力を生み出すほど社会的な影響力を持った。史料では大姓,著姓とか同族を示した言葉で表現される。大土地所有者として奴婢(ぬひ)や小作人を使用して荘園経営で富を蓄え,郡県の下級官吏として地方政治を支えた。中央の官僚を輩出する有力な豪族もあった。中央から派遣された郡太守や県令(けんれい)の政治を支える一方,中央と利害も衝突した。
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…このとき運よく生き残ったものは,商業を避けて土地に投資し,地主への転身をはかった。後漢時代にとくに顕著となる豪族の中には,こうした転身者の子孫がかなりあったとみられる。また新経済政策にともなう商人の没落は,同時に商業そのものの性格を変えることになった。…
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