地域乗数(読み)ちいきじょうすう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地域乗数」の意味・わかりやすい解説

地域乗数
ちいきじょうすう

ある地域に投下された資本が,その地域の所得をどれだけ増大させたかを示す倍率をいう。国民経済全体について外国貿易のない場合については,投資増分を ΔI ,所得増分を ΔY ,乗数を k で示すと,kΔY/ΔI であり,しかも k=1/(1-限界消費性向) であることが J.M.ケインズによって定式化されている。かりに限界消費性向が 2/3 であれば乗数値は3となる。しかし地域乗数の場合にはその効果を減殺する要因があって域外に漏れるため,乗数値は一国乗数のそれを下回る。それはそもそも投資のうち一部分は域外から機械,設備,原材料の形で移入し,また実現された所得のうち利潤,利子が域外に流出し,さらに所得増大に伴って消費が増大する場合,消費財のかなりの部分が域外から移入されるからである。開発投資の地域乗数効果を高めるには地場産業の育成が必要である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む