倍率(読み)ばいりつ

日本大百科全書(ニッポニカ)「倍率」の解説

倍率
ばいりつ

の大きさと物体の大きさの。大きさとしてどんな量を考えるかで、種々の倍率が定義される。光学系の光軸に垂直な物体とその像の長さをとれば横倍率、光軸方向の物体とその像の長さをとれば縦倍率となる。光軸上の物点から出て像点を通る1本の光線を考え、この光線が物体側および像側で光軸となす角を考えたときが角倍率である。単に倍率といえば横倍率を意味する。一般に倍率は物体の位置によって変化する。球面鏡や薄いレンズの横倍率mは、それぞれ鏡の頂点またはレンズの中心からの像点、物点までの距離s'、sの比に等しい。すなわち
  m=±s'/s
で与えられる。ここで、正負は、レンズのときを正、球面鏡のときを負とし、mが負のときは倒立像となる。平面鏡の倍率を図A、球面鏡の倍率を図B、レンズの倍率を図Cに示す。

 肉眼で使用される望遠鏡、顕微鏡のような光学器械の倍率は、光学器械を通して見える像が目の瞳孔(どうこう)中心において張る角(視角)と、光学器械を通さずに物体が直接肉眼の瞳孔中心において張る視角の比により定義されることがある。これは、角度の比であっても角倍率ではない。物体および像までの距離としては、いずれも無限遠または有限距離のときには明視の距離250ミリメートルにとる。対物レンズと接眼レンズの焦点距離をそれぞれfofeとすると、望遠鏡の倍率はfo/feで、顕微鏡の倍率は、光学的筒長をΔとすると、250・Δ/(fofe)で与えられる。

[三宅和夫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉「倍率」の解説

ばい‐りつ【倍率】

ある数が他の数の何倍であるかを示す比率。また特に、競争率。「倍率の高い名門校」
光学器械を通して目に見える大きさと、実物の大きさとの比。「倍率の大きい顕微鏡」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典「倍率」の解説

ばい‐りつ【倍率】

〘名〙
① ある数が基準となる数の何倍になるかを表わす数。競争率の類。
※経済実相報告書(1947)二「一ばん倍率のいい坑内夫の場合でも」
② 拡大または縮小された像や図の寸法ともとの像や原図の寸法との比。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「倍率」の解説

倍率
ばいりつ
magnification

光学系その他の結像系でできる物体の像と,もとの物体との大きさの比をいう。回転対称な結像系では,対称軸に沿った方向の倍率を縦倍率,それに垂直な方向のものを横倍率という。普通に倍率というときは横倍率を意味することが多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版「倍率」の解説

ばいりつ【倍率 magnification】

レンズなどの光学系による物体の像の大きさと物体の大きさとの比。屈折面,反射面の曲率中心が一直線上にある共軸球面系において,近軸近似によれば,光軸に垂直な面内で物体とその像は相似であるから,このときの倍率は物体の大きさと位置によらず一定である。このように光軸に垂直な方向に考えた倍率を横倍率という。実際の光学系では歪曲収差により,倍率は物体の大きさによってわずかに変化するので,ここでは光軸の近くに小線分をおくと考えて倍率を定義する。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

今日のキーワード

ダブルスタンダード

〘名〙 (double standard) 仲間内と部外者、国内向けと外国向けなどのように、対象によって異なった価値判断の基準を使い分けること。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android