seismic moment
P波とS波の初動の押し引き分布からも支持される地震発生に関する弾性反発説によると,地震波を放出させる波源としての震源は,図のように2組の偶力が震源周囲で働くという力学系で表すことができる。この力学系をダブルカップルといい,その強さを一方の偶力のもつモーメントで表し,これを地震のモーメント(M0)と呼ぶ。転位理論によると,このM0は,M0=μDSで表すことができる。ここで,μは岩石の剛性率,Dは断層面沿いの平均変位量,Sは変位した断層面積である。環太平洋地震帯のなかで,南米,アラスカ,アリューシャン列島などの地域に起こる巨大地震のなかには非常に大きなM0をもつ地震があり,これらの地震は,従来のように,周期20sec前後の表面波の最大地動振幅から決められるマグニチュードMsでは,地震のスケールの大小が区別できないため,新たに,M0から地震のエネルギーを算出し,それをグーテンベルク-リヒターの式に入れてマグニチュードを出す(この値をMWと書く)という方法がとられるようになった。この方法によると,例えば1960年のチリ地震(Ms=8.5)のM0=2.7×1023N・mで,MWは9.5となり,これまでで最大規模の地震となる。参考文献:H.Kanamori(1977) J.Geoph.Res.,Vol.82:2895
執筆者:三東 哲夫
参照項目:チリ地震

出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
…すなわちダブル・カプルのモーメントM0は,断層面積S上の平均変位量Dと地殻の剛性率μの積M0=μDSで表される。M0は地震モーメントと呼ばれ,地震の強さを表す最も基本的な量であって,一般に観測される地震波の振幅はモーメントに比例する。また断層運動生成前に断層面に働いていた剪断応力σ0と生成後の応力σ1の差⊿σ=σ1-σ0を応力降下量と呼び,DとS,またはM0とSの関数として表すことができる。…
※「地震モーメント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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