岩石学辞典 「変成分化作用」の解説 変成分化作用 均質な岩石が変成作用の過程で,元来一様であった岩石が,外部との物質の出入りがなくても内部で各成分が移動して,部分的に化学組成の異なる不均質な岩石になる作用で,対照的な鉱物組合せをもつ縞模様に分離することなどである.対照的な鉱物の縞は,成分の固体拡散または局部的な交代作用によって形成される.この語はスティルウェルによって提唱された作用で[Stillwell : 1911-1914, 1918],後になってエスコラが再び定義した[Eskola : 1932].スティルウェルは変成作用の過程に拡散現象を考え,変成拡散作用(metamorphic diffusion)を最初に導入した[Stillwell : 1918].この作用の過程で,斑状変晶が発達する作用(concretion principle),不安定な鉱物の溶解作用(solution principle),最も安定な組成が濃集する作用が考えられた[Tomkeieff : 1983].変成分化作用は各成分の化学ポテンシャルの差による偏析作用または分離作用と考えられ,熔融体の存在は必要がなく,系が閉じていても差し支えない過程である. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報