外圏錯体(読み)ガイケンサクタイ

化学辞典 第2版 「外圏錯体」の解説

外圏錯体
ガイケンサクタイ
outer-sphere complex

金属錯体一種で,中心金属イオンに直接配位子が結合している領域(内圏もしくは内部配位圏といい,結合した配位子を内圏配位子という)の外側の領域(外圏もしくは外部配位圏という)で,ほかの分子対イオンと結合した錯体をいう.外圏に結合した分子や対イオンを外圏配位子という.水和金属イオンの外圏に対イオンが結合した外圏錯体は,金属イオンと配位子との間に水1分子を介した会合イオン対の一種である.外圏錯体の結合は,金属錯体と外圏配位子との間にはたらく静電引力によるもので,一般に結合は弱く,金属錯体,外圏配位子,外圏錯体の間には化学平衡が成り立つ.この化学平衡は,電気伝導度,超音波吸収スペクトルなどで観測される.外圏錯体の生成速度はきわめて速く,陰陽両イオンの拡散速度で律速される.encounter complexともよばれる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android