化学平衡(読み)かがくへいこう(英語表記)chemical equilibrium

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

化学平衡
かがくへいこう
chemical equilibrium

反応と逆向きの反応が,同じ速さで進行しているとき,この反応は見かけ上どちらの方向へも進行しないようにみえる。この状態を化学平衡,または単に平衡にあるという。化学平衡の状態は動的平衡であるから,どちらか一方の反応を押えると,その反応のほうへ平衡を移動させることができる。

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百科事典マイペディアの解説

化学平衡【かがくへいこう】

閉じた化学反応系では,反応が最後まで進んですべてが生成物質になってしまうことはなく,反応物質と生成物質の量の間に一定の関係が満たされると止まるのが普通である。すなわち反応の初期においては正反応(反応物質から生成物質のできる反応)の速度が大きいが,生成物質の量が多くなるにつれて正反応の速度は小さくなり,逆反応(生成物質からもとの反応物質ができる反応)の速度が増し,ついに両者が釣り合って見かけ上反応が停止した状態に達する。この状態をさして化学平衡という。→平衡定数
→関連項目オストワルト可逆反応質量作用の法則反応速度平衡

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栄養・生化学辞典の解説

化学平衡

 可逆反応で,正方向の反応速度と逆方向の反応速度が等しくなって,現象的には反応が停止しているようにみえる状態.

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世界大百科事典 第2版の解説

かがくへいこう【化学平衡 chemical equilibrium】

可逆的な化学反応で正反応と逆反応の速度がちょうど等しくなり,あたかも反応が停止したようにみえる状態をいう。たとえば酢酸とエチルアルコールとの反応で,反応がある程度進むと,その反応は見かけ上停止する。これは,次の化学反応式における右向きの反応(エステル化反応)と左向きの反応(加水分解)の速度が等しくなった動的釣合いの状態で,これが化学平衡である。化学平衡に達したとき,反応系の初めの組成によらず次の平衡濃度の比は温度のみによる定数となる。

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大辞林 第三版の解説

かがくへいこう【化学平衡】

可逆反応において、正反応と逆反応との反応速度が等しくなり、見かけ上、化学変化が進行しなくなった状態。各成分の濃度または分圧の間には質量作用の法則が成立する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

化学平衡
かがくへいこう
chemical equilibrium

化学反応が原系から生成系に向かっておこっている場合、十分に時間がたったあとでは、その化学反応の進行が見かけ上停止する。この状態を化学平衡という。しかし、化学平衡ではまったく反応が止まってしまったのではなく、原系から生成系に進む反応(正反応)の速さと、逆に生成系から原系に進む反応(逆反応)の速さとが、ちょうどつり合っているために、見かけ上、反応が止まっているようにみえるだけである。たとえば、A+BC+Dの反応で、正逆両反応の速度がそれぞれの化学種の濃度([ ]により濃度を表す)の積に比例するとすると、正反応の速度は[A][B]、逆反応の速度は[C][D]となるから(は速度定数)、平衡では

となり、したがって、

([ ]eqは平衡時の濃度を表す)すなわち、平衡に達すればこの濃度比がつねに一定値になることを表している。この関係を質量作用の法則といい、Κを平衡定数という。Κは温度が変わらない限り一定値である。
 化学平衡では、このなかでおこる化学反応について、原系、生成系それぞれの自由エネルギーの和が等しくなるので

と書くことができる。ここでμilは化学反応式の左辺(l、原系)にある化学種iの化学ポテンシャル、nilは反応式中の係数を表し、右辺(r、生成系)についても同様に表す。これから
  ΔG0=-RTlnK
の関係が導かれる(ΔG0は反応式に従って反応がおきたときの標準自由エネルギーの増加、Rは気体定数、Tは絶対温度)。[戸田源治郎]
『小泉正夫著『化学平衡』(1957・共立出版) ▽渡辺啓著『化学平衡の考え方――化学反応はどこまで進むか』(1998・裳華房) ▽神崎凱・千熊正彦・黒澤隆夫著『化学平衡と分析化学』第2版(2003・廣川書店)』

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世界大百科事典内の化学平衡の言及

【化学反応】より

1864年,ノルウェーのC.M.グルベルグとP.ボーゲは,式(1)の平衡において,平衡点は水に可溶な反応物質(K2CO3,K2SO4)の量でほぼ決まってしまうことを見いだし,平衡状態を決定するのは質量以外に容積であるという考えに到達した。他の条件が等しければ反応の駆動力は反応物の活性質量の積に比例し,化学平衡の状態は正方向の反応と逆方向の反応の駆動力が等しいときに出現すると考えた。
[化学親和力の意味]
 グルベルグ,ボーゲの考えにはニュートンの力学の影響がみられ,化学親和力も一種の力と考えられ,化学反応が起こるためには反応体が相互に力の及ぶ範囲にまで接近することが必要であり,活性質量とはこの力の及ぶ範囲(作用球)にある量で,濃度にほぼ対応する。…

※「化学平衡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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