日本大百科全書(ニッポニカ) 「外耳奇形」の意味・わかりやすい解説
外耳奇形
がいじきけい
外耳の先天的な変形をいい、耳介奇形と外耳道奇形に分けられる。耳介と外耳道は同じ胎生器官から発生するので、形態異常が甚だしい場合は両者が合併している。耳介奇形は、まったく耳介のない無耳症、耳介が非常に小さい小耳症、耳介の外に突出物のある過剰耳や多耳症、一部分が頭皮下に潜り込んでいる袋耳(ふくろみみ)、耳垂(耳たぶ)が分かれている耳垂破裂症など、多種多様である。もっとも頻度の高いものは、耳介の前上面や外縁部の耳輪に小さな穴のある先天性耳瘻孔(じろうこう)で、この穴は貫通せず盲管になっており、分泌物がたまって出てくる。化膿しやすく、耳の周囲が腫(は)れあがって痛みが強くなる。瘻孔の完全摘出によって全治する。
外耳道奇形には、外耳道がまったくない外耳道閉鎖症、部分的に狭くなっている外耳道狭窄(きょうさく)症がある。外耳道閉鎖症はそれだけでも難聴となるが、鼓膜をはじめ中耳の形態異常も合併しているのが普通で、外耳道形成や鼓室形成の手術を行えば聴力は改善される。
[河村正三]