改訂新版 世界大百科事典 「多嘴壺」の意味・わかりやすい解説 多嘴壺 (たしこ)duō zuǐ hú 肩に円筒形の孔管(嘴)を装飾した蓋壺。中国宋代越州窯や竜泉窯で作られた青磁が顕著な遺例である。器形には卵形の胴と5段に分かれた五層瓶の胴をなすものとがあり,肩に5本の嘴を飾っている。嘴には面取を施し,胴には蓮弁や唐草文を刻花や印花で表す。北宋初期副葬品として始められたものとみられる。一方,日本の三彩や灰釉にみられる多嘴壺形のものは,別系統で須恵器の子持瓶の系譜を継ぐものとみられている。執筆者:河原 正彦 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by