夜須東郷
やすとうごう
平安期から戦国期にかけてみえる郷。郷域は未詳であるが、現三輪町から甘木市草水・中寒水にかけての地域と推定される。治安二年(一〇二二)二月二〇日の筑前国符(石清水文書/平安遺文二)によると、筑前国衙は筥崎宮塔院に「夜須東郷田拾陸町漆段」を与えるよう「夜須東郷司」に命じている。観応三年(一三五二)書写の安楽寺領注進状には「夜須東郷河嶋菩提寺」とあり、当郷のうち河島菩提寺(現甘木市)が安楽寺(太宰府天満宮)に寄進されていた。永和四年(一三七八)と推定される九月一五日付少弐頼澄書下(町村書上帳/南北朝遺文(九州編)五)では、加世孫三郎に対して「夜須東郷内寒水村拾町」が宛行われている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報