夢想権之助(読み)むそう・ごんのすけ

朝日日本歴史人物事典 「夢想権之助」の解説

夢想権之助

生年生没年不詳
江戸前期の棒術家。姓がないものと思われ,出自は武士ではないと推測される。剣を神道流の桜井大隅守吉勝に学ぶ。慶長(1596~1615)のころ,宮本武蔵に敗れて発奮,神仏に祈って開眼し,剣,槍,薙刀の操法を総合した棒術を工夫,真道夢想流棒術を創始したとされる。同流は数代を経て福岡黒田藩で下士や足軽の武術として定着発展した。伝承途上,流名が新当夢想流,神道夢想流と変わり,棒を杖と表現するようになった。史話によると,乱暴者だったが開眼し,「刀槍は人を殺し傷つけるものゆえ望むにたらず」(伝書)と喝破し,平和の武術を打ちたてたという。同流は現在全国的に普及しつつある。<参考文献>松井健二「神道夢想流杖術全貌」(『秘伝古流武術』6・7号)

(松井健二)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「夢想権之助」の解説

夢想権之助 むそう-ごんのすけ

?-? 江戸時代前期の杖術(じょうじゅつ)家。
桜井大隅守(吉勝)に神道流の剣をまなぶ。宮本武蔵(むさし)に敗れたのち,筑前(ちくぜん)(福岡県)宝満山にこもって神託をうけ,神道夢想流をひらいた。黒田家につかえたといい,流儀は福岡藩につたわった。名は勝吉。

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