国指定史跡ガイド 「大清水上遺跡」の解説
おおすずかみいせき【大清水上遺跡】
岩手県奥州市胆沢区若柳にある縄文時代前期後半の住居跡。胆沢(いさわ)扇状地の最奥頂部、標高280mの段丘上に立地する。2000年(平成12)から胆沢ダム建設事業にともなう発掘調査が行われ、中央広場をもつ環状集落の存在が確認され、ダム建設の計画変更によってほぼ全体が保存されることになった。2008年(平成20)に国指定史跡となる。直径約20mの広場を囲んで大型竪穴(たてあな)住居が62棟配置された環状集落で、外側に小型竪穴住居、貯蔵用と考えられる土坑も発見されている。岩手県遠野市にある綾織新田(あやおりしんでん)遺跡や、栃木県宇都宮市の根古谷台(ねごやだい)遺跡では、中央広場に住居の長軸を向けない構造なのに対し、中央広場に軸線を向けて環状を形成している。この形式は、縄文時代中期に普及する環状集落の形態であり、その初期の例として、成立状況がわかる重要な遺跡とされている。東北自動車道水沢ICから車で約50分。