天狗谷古窯址(読み)てんぐだにこようし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天狗谷古窯址」の意味・わかりやすい解説

天狗谷古窯址
てんぐだにこようし

佐賀県西松浦郡有田町白川天狗谷にあり,江戸時代に磁器を焼いた窯跡。同一地点に5基あるいはそれ以上の数の窯が重なり合って残存する。下方の3基 (E・A・D窯) とその上方の窯 (B・C窯など) とは築窯年代が異なる。下方の3基のうち中央に位置するA窯は 16室の焼成室と最下部の燃焼室,最上部の煙室より成る階段状連房式登り窯全長 53m。A窯の廃絶年代は江戸時代のごく初期であるから,その下方のE窯はさらに古く安土桃山時代末期と考えられ,日本最古の磁器窯といわれている。上方の窯群の稼働年代は 18世紀後期から 19世紀初期である。物原からはおびただしい染付,白磁青磁の類が出土する。

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世界大百科事典(旧版)内の天狗谷古窯址の言及

【染付】より

…日本で染付が作られるようになるのは,朝鮮半島からの帰化陶工李参平によって有田泉山で磁石が発見され,1616年(元和2)有田上白川(かみしらかわ)天狗谷窯で焼成されたのがはじめとされてきた。しかし近年天狗谷古窯址の発掘調査によって,有田における磁器焼成は慶長年間(1596‐1615)から始められていたものと推定されている。また初期の作品も器形・文様とも李朝風なものとされてきたが,器形は古唐津風なものを残しながら,当時日本に多量に舶載されていた中国青花磁器の影響が著しいことも指摘されている。…

※「天狗谷古窯址」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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