デジタル大辞泉 「天雲の」の意味・読み・例文・類語 あまくも‐の【天雲の】 [枕]雲が浮かび漂うところから、「たゆたふ」「ゆくらゆくら」「別る」などにかかる。「―たゆたひやすき心あらば」〈万・三〇三一〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「天雲の」の意味・読み・例文・類語 あまぐも‐の【天雲の】 枕 ( 古くは「あまくもの」 )① 雲が、ゆくえ定めず空を漂うところから、「たどきも知らず」「たゆたふ」「ゆくらゆくら」「浮く」などにかかる。[初出の実例]「天雲之 ゆくらゆくらに」(出典:万葉集(8C後)一三・三二七二)「大船の上にし居れば安麻久毛乃(アマクモノ)たどきも知らず歌乞我が背」(出典:万葉集(8C後)一七・三八九八)② 雲が、空のはるか遠いところにあるというところから、「奥処(おくか)も知らず」「はるか」「上(うわ)」などにかかる。[初出の実例]「思ひ出てすべなき時は天雲之奥処(おくか)も知らず恋ひつつそ居る」(出典:万葉集(8C後)一二・三〇三〇)「あまくものはるかなりつるかつらがはそでをひでてもわたりぬるかな」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月一六日)③ 雲が、ちぎれて離れ離れになるところから、「別れ」「外(よそ)」などにかかる。[初出の実例]「天雲乃 別れし行けば 闇夜なす 思ひ迷(まと)はひ」(出典:万葉集(8C後)九・一八〇四)「あまぐものよそにのみしてふることはわが居る山の風はやみ也」(出典:伊勢物語(10C前)一九)④ 雲が、空を飛んで去ってしまうところから、「行く」「晴る」にかかり、また飛び去っても再び戻って来るように見えるところから、「行き還(かへ)り」などにかかる。[初出の実例]「天雲乃行き還(がへ)りなむ物故に思ひそ吾がする別れ悲しみ」(出典:万葉集(8C後)一九・四二四二)「我身はつねに あまぐもの はるるときなく〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇〇一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例