どれい狩り(読み)どれいがり

改訂新版 世界大百科事典 「どれい狩り」の意味・わかりやすい解説

どれい狩り (どれいがり)

安部公房(1924-93)の戯曲。《文芸》1954年12月号,55年3月号にまず小説として発表(題名は《奴隷狩》)。55年6月に戯曲として公演,戯曲集《どれい狩り・快速船・制服》に収録。人間にそっくりで人間とはちがう珍獣ウエーをめぐって事件が展開する。この動物の利用価値が明らかになると,人々は争ってウエーを求め,やがて政治家がウエーの飼育事業を行うようになる。人間の労働が奴隷の利用価値に等しいものになっていることを暗示した政治風刺劇で,67年に改訂・再上演された。さらに改作した《ウエー・新どれい狩り》(1975)もある。安部公房の最初の戯曲で,この実験劇の延長上に多彩な劇作品が開花した。
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関連語 光一

世界大百科事典(旧版)内のどれい狩りの言及

【サムライアリ(侍蟻)】より

…数日後にはクロヤマアリの働きアリは侵入したサムライアリの女王(雌)アリに仕えるようになり,以後,巣ではサムライアリのみが産みおとされるようになる。サムライアリの働きアリは食物を集めたり幼虫を育てるといった労働能力を欠いているので,奴隷狩りを行っては労働力を補充する。夏の日中にサムライアリの働きアリ数百匹が隊列をつくって繰り出し,クロヤマアリの巣に侵入して幼虫や繭を略奪してもち帰る。…

※「どれい狩り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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