日本大百科全書(ニッポニカ) 「妊婦貧血」の意味・わかりやすい解説 妊婦貧血にんぷひんけつ 妊娠中にみられる貧血で、極度なものでなければ妊娠の成立および維持に著しい障害を及ぼすことはない。一般に、妊娠後半期になると循環血液量が増えてくるが、全赤血球量の増加よりも全血漿(けっしょう)量の増加が著しいため、相対的に血色素量やヘマトクリットなどが妊娠前より低下して貧血傾向が現れる。かつてはこれを生理的貧血とみていたこともあるが、その大部分が鉄欠乏性貧血であり、まれに葉酸欠乏性、再生不良性、溶血性などの貧血があるところから生理的貧血とはよばなくなっている。[新井正夫] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例