… 請求権は債権の効力として債権から生ずることが最も普通の事態であるが(というのは,債権とは本来,請求権を通じて実現される権利だから),物権その他の権利または法律関係からもまた請求権が発生することがある。たとえば,A所有の土地上にBが無権限で工作物を設置するなどしてAの所有権をBが妨害する場合には,Aは所有権に基づきBに対し妨害の排除(工作物の撤去)を請求することができる(所有権に基づく妨害排除請求権)。もし妨害が不法行為を構成する場合には(つまり民法709条に該当するならば),AはBに対し損害賠償を請求することができる。…
… 物権が排他性を有することから,物権には特有の効力として物権的請求権(物上請求権ともいう)が認められる。物権的請求権は,物権が侵奪された場合の返還請求権,物権の使用・収益が妨害されている場合の妨害排除請求権および物権の使用・収益が妨害されるおそれがある場合の妨害予防請求権に分かれる。例えば,宝石が盗まれた場合や土地が不法占有されている場合の取戻しや明渡しの請求権は返還請求権,庭に隣家の松の木が倒れてきた場合の除去の請求権は妨害排除請求権,隣家の石垣が庭にくずれかかってくるおそれがある場合のしかるべき予防措置を求める請求権は妨害予防請求権である。…
※「妨害排除請求権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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