知恵蔵 「嫦娥3号」の解説
嫦娥3号
嫦娥(じょうが・こうが)は道教の月の神の名で、中国の月探査計画の名称としても使われている。この計画の第1段階として、07年に嫦娥1号、10年に2号を打ち上げ、月の周回軌道に投入して探査活動を行った。第2段階は、3号、及び15年打ち上げ予定の4号での月面車による探査。第3段階として5号が月面で採取した試料を回収して地球に持ち帰ることを目指す。なお月面車の名称である玉兎は、伝説上の月に住むウサギのこと。これまでの無人月面車は、ソ連が過去に送り込んだルノホート1号・2号のみ。月面では昼夜がそれぞれ約半月続くため、玉兎は動力源として太陽光パネルのほか、機器の夜間の保温に原子力電池を備える。
1969年米国アポロ11号の有人月面着陸に始まる月への軟着陸は、76年ソビエト連邦(当時)のルナ24号の地球帰還を最後に37年間途絶えていた。今回の嫦娥3号は米ソに次いで世界で3カ国目の成功となる。嫦娥計画は将来的に月への有人着陸や月面基地滞在なども予定し、宇宙開発による中国の技術・経済への効果や国威発揚を狙っている。
(金谷俊秀 ライター / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報