玉兎(読み)タマウサギ

デジタル大辞泉 「玉兎」の意味・読み・例文・類語

たまうさぎ【玉兎】

歌舞伎舞踊清元本名題玉兎月影勝たまうさぎつきのかげかつ」。2世桜田治助作詞、清沢万吉作曲。七変化月雪花名残文台つきゆきはななごりのぶんだい」の一つで、文政3年(1820)江戸中村座初演。兎が影勝団子をつく所作や、狸との立ち回りをみせる。

ぎょく‐と【玉×兎】

《月の中にうさぎがすむという伝説から》異称。「金烏きんう玉兎 秋》

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精選版 日本国語大辞典 「玉兎」の意味・読み・例文・類語

たま‐うさぎ【玉兎】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 月にいると考えられていた兎。
      1. [初出の実例]「玉うさぎはねてなぐさめ十五夜はおのが毛程も月にきずなし」(出典:狂歌・徳和歌後万載集(1785)三)
    2. 月の異称。ぎょくと。
      1. [初出の実例]「十五夜の、盈つれど欠けぬ玉兎」(出典:長唄・羽衣(1918))
    3. 菓子の名。餡(あん)を小さく丸めて求肥(ぎゅうひ)に包み、兎の形に丸め、目と耳をつけた和菓子。また、その上に白い糖衣をかけたものもある。〔菓子話船橋(1841)〕
  2. [ 2 ] 歌舞伎所作事。清元。二世桜田治助作詞。清沢万吉(初世清元斎兵衛)作曲。四世藤間勘兵衛・市山七十郎振付。本名題「玉兎月影勝(たまうさぎつきのかげかつ)」。文政三年(一八二〇)江戸中村座初演。三世坂東三津五郎の七変化舞踊「月雪花名残文台(つきゆきはななごりのぶんだい)」の月の部の一つ。兎が杵をふるって影勝団子をつき、狸と立ち回って仇を討つ。清元の代表作の一つ。

ぎょく‐と【玉兎】

  1. 〘 名詞 〙 ( 月の中に兎が住むという伝説に基づいて ) 月の異称。→金龍(きんりょう)[ 一 ]。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「金波自蕩韓娥思、玉兎更牽晉野情」(出典:類聚句題抄(11C中)絃歌伴月来〈三善為政〉)
    2. [その他の文献]〔姚合詩‐対月詩〕

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改訂新版 世界大百科事典 「玉兎」の意味・わかりやすい解説

玉兎 (たまうさぎ)

歌舞伎舞踊の曲名。清元。本名題《玉兎月景勝(たまうさぎつきのかげかつ)》。1820年(文政3)9月江戸中村座初演。3世坂東三津五郎が踊った雪月花七変化所作事(変化物(へんげもの))《月雪花名残文台(つきゆきはななごりのぶんだい)》のうちの一。作詞2世桜田治助。作曲清沢万吉(初世清元斎兵衛)。振付市山七十郎(なそろう),3世藤間勘兵衛。月から飛び出した兎の餅つき,かちかち山の物語,わらべうたなど子ども向きの舞踊だが,大人が手足まる出しの袖なし姿で踊る飄逸(ひよういつ)な振りも面白い。
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「玉兎」の解説

玉兎
(通称)
たまうさぎ

歌舞伎・浄瑠璃外題
元の外題
玉兎月影勝 など
初演
文政3.9(江戸・中村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

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