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月探査機 つきたんさき lunar (moon) probe

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

月探査機
つきたんさき
lunar (moon) probe

月を調べるために打ち上げる探査機のこと。月にぶつけるもの,着陸させるもの,周囲を回らせるものなどがある。アメリカでは,パイオニア,レンジャー,サーベイヤエクスプローラルナオービターが打ち上げられ,旧ソ連には,ルナ,ゾンドがある。

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デジタル大辞泉の解説

つき‐たんさき【月探査機】

月あるいはその周辺の宇宙空間を観測するために打ち上げられる探査機。1959年にソ連のルナ1号が初めて月面上空を飛行、69年に米国のアポロ11号が人類初の月面着陸を果たした。

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百科事典マイペディアの解説

月探査機【つきたんさき】

月の成因や物質の調査,月面の観測などを目的とした探査機。ソ連のルナ,ゾンド,アポロ計画の準備となった米国のレンジャー,サーベイヤールナ・オービターなどのシリーズ,およびアポロ宇宙船がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

月探査機
つきたんさき

月またはその周辺の宇宙空間を観測するための機器。ソ連のルナ1号に始まる無人探査機とアメリカのアポロ計画に代表される有人探査機とがある。
 探査機の月への飛行の概略をアメリカの月探査機レンジャーを例にとって説明する。地上からロケットによって打ち上げられた探査機は、第1回目の着火によって地球を回る高度185キロメートルのパーキング軌道(円軌道)に入り、この軌道をしばらく飛行したのち、2回目の着火によって月への遷移軌道に入る。この遷移軌道は直径が約16キロメートルの月に至る円筒形の廊下(moon corridorという)と考えればよい。この廊下の中に、必要速度(発射の日によって時速3万9453キロメートルから3万9485キロメートルまで変わる)に対して時速16キロメートルの誤差範囲で入らなければならない。このような操作を誘導guidanceとよぶが、位置および速度の誘導誤差の修正は遷移軌道の途中で行われる。これをミッドコース・マヌーバーとよぶ。月の周りを回るオービタ(軌道船)にするには、さらに月の近くで適当な量の減速を行わねばならない。[輿石 肇・岩田 勉]

ソ連の月探査機

1959年1月2日ウォストークロケットによって打ち上げられたルナ1号は、月面から5000キロメートルのところを飛行することに世界で初めて成功し、その後、太陽の周りを回る世界初の人工惑星になった。ルナ2号は、月の周囲には強い磁場や放射能帯のないことを観測したのち、月面に衝突し、他の天体に到達した世界初の人工物体となった。ついでルナ3号は、人類が見たことのない月の裏側の写真撮影に初めて成功した。
 1963年には月軟着陸を目ざしたルナ・シリーズが開始された。8回の失敗のすえ、1966年1月31日に打ち上げられたルナ9号が、月面に軟着陸した世界最初の探査機となった。ルナ9号は月から75キロメートルの点に達したとき降下用エンジンに着火した。球形をしたペイロード・カプセルはエンジン・モジュールの着地寸前に切り離され、月面上を少し転がって停止した。そして葉状をしたアンテナが開き、旋回塔に取り付けられたテレビカメラが周囲のパノラマ撮像を行った。続いて13号も軟着陸に成功し、同様の科学観測を行った。
 ソ連の月探査活動として特記すべきは、ルナ16号による月の土壌の自動サンプリング・持ち帰り活動である。1970年9月12日に打ち上げられたルナ16号は月を回る軌道に入ったのち、降下エンジンを着火し、月面から20メートルの高度でこのエンジンを止め、あとはバーニヤエンジンを用いて軟着陸を行った。そして地上からの指令で土壌掘削装置が降ろされ、サンプルを収納した。26.5時間の月面滞在ののち、月面離脱用エンジンを点火し、地球への帰還の途についた。このあと、ルナ20号、24号もサンプル持ち帰りに成功、計3回で持ち帰った月の土壌は0.32キログラムになった。
 世界の目を見張らせたソ連の次の計画は、ルナ17号による世界最初の月面探索車計画である。1970年11月10日に打ち上げられたルナ17号は、月面に軟着陸後、地上からの指令によって誘導板を伸展させ、この上を八つの車輪をつけた探索車ルノホート1号が月面に出た。そして10か月半にわたって月面を約10.5キロメートル移動し、テレビによる撮影や各地点の土壌分析などを行った。こののち、ルナ21号により2台目の探索車ルノホート2号が月面に送られ、4か月にわたって37キロメートルを移動して科学観測を行った。
 ソ連は1976年に打ち上げた既述の土壌持ち帰り計画・ルナ24号をもって、月探査計画を中断した。[輿石 肇・岩田 勉]

アメリカの無人月探査機

アメリカはパイオニア・シリーズで月探査を開始したが、1959年に打ち上げられたパイオニア4号が月から約6万キロメートルのところを通過した(これはアメリカ最初の人工惑星になった)以外、みるべき成果がなく、次のレンジャー計画に引き継がれる。この時点でアメリカは人間を月に送ることを国家目標に置いたので、以後の探査計画の多くがこのための予備的探査を目的とするようになった。
 レンジャーの1号から6号までは失敗に終わったが、1964年に打ち上げられた7号は月面に達し、衝突前までに4300枚の高解像度写真を送ってきた。
 アメリカの月軟着陸はサーベイヤー計画で行われた。サーベイヤー1号はルナ9号に遅れること4か月、1966年5月30日にアトラス・セントゥールロケットによって打ち上げられた。探査機としての機能はルナ9号よりもかなり高度なもので、月面上約4メートルの高度で停止し、すべてのエンジンを止めて自由落下した。
 このあと、サーベイヤー3号、5号、6号、7号も軟着陸に成功し、アポロ計画での着陸予定地を中心に観測が行われ、月面はアポロ着陸船を支えるのに十分な強さをもっているか、人間はその上を歩くことができるかなど、非常に貴重な多くのデータが得られた。
 一方、サーベイヤー計画と並行して、軌道上からアポロ着陸船の着陸予定地を詳細に調査するルナ・オービタ計画も進められた。そして1966年8月から1967年8月まで5機が打ち上げられ、すべて成功した。これにより月の地図が裏側を含めてほぼ完全なものになった。
 この後、1972年のアポロ17号の月着陸以来20年近く、どの国も月探査機を打ち上げなかった。月探査の再開は、日本が1990年1月24日、月スイングバイ(月軌道に接近し重力を利用して軌道変更する)・周回機「ひてん」(後述)を打ち上げたことから始まる。1994年1月25日、アメリカは軍事衛星センサー技術および衛星小型化技術の実証を第一目的、科学探査を第二目的として、月周回観測と地球近傍の小惑星ジオグラフォスの周回観測を目ざした小型探査機クレメンタインを打ち上げた。クレメンタインは2か月間、月を周回し、月面ほぼ全球にわたり可視、紫外、近赤外、遠赤外域の多重スペクトル画像180万枚およびレーダー高度計による月面標高データを取得した。1994年5月7日、月観測を計画どおり完了して、小惑星に向かう操作を実行したところ、搭載コンピュータの故障により推進薬バルブが閉じず、推進薬を放出しきったため、軌道変更は不可能となり漂流状態となった。
 1998年1月7日、アメリカは月表面観測、月極地の氷の探索、月磁場・重力場の測定などを目的とした小型の月周回探査機ルナープロスペクターを打ち上げ、同年1月11日に月周回軌道に投入した。同機は計画された科学観測を終了した後、1999年7月31日に月南極のクレーターに落下衝突させる実験を行ってミッションを終了した。このミッションにより、月面の水は発見できなかったが、多くの科学データが取得された。
 2009年7月18日、アメリカは将来の有人月面拠点の構築に必要な観測データの取得を目標として、月偵察機(LRO)を打ち上げ、同年7月23日に月周回軌道に投入した。同機は、5メートルの分解能をもつ搭載カメラによって、月面に残されているアポロ着陸機やサーベイヤー無人着陸機など月面残置人工物の撮影に成功した。同年8月21日には、同時期に月周回軌道上にあったインドの月周回探査機チャンドラヤーン(後述)との共同実験として月面の水を探索するための電波反射送受信を行った。LROと相乗りで打ち上げられたアメリカの月クレーター観測衛星(LCROSS)は、将来の月面居住に必要な月面の水資源を探査する目的で、2009年10月9日、月南極付近の永久日陰域のクレーター底に落下物(使用済みロケット上段)を衝突させて飛散する粉末および気化物質の成分を測定した。衝突落下物としては、月軌道投入時のエンジン噴射に使用した上段ロケットを廃物利用した。飛散物質および気化物質からは、相当量の水分が測定され、月面の水資源の存在が史上初めて確定された。[輿石 肇・岩田 勉]

日本の月探査機

1990年(平成2)1月24日、日本の宇宙科学研究所(2003年10月より宇宙航空研究開発機構)は月を利用したスイングバイ飛行技術、地球大気を利用した大気減速飛行技術の実証等を目的として、「ひてん」を打ち上げた。ひてんは月近傍を何度も通る軌道を飛行して、月の引力による速度変換の実験を行い、1990年3月19日、衛星本体から11キログラムの超小型衛星「はごろも」を分離した。「はごろも」は、1976年のルナ24号以来14年ぶりの月への来訪者であり、ソ連、アメリカ以外の国が月を周回させた初めての宇宙機となった。「ひてん」本体も1992年2月、月周回軌道に投入され、翌1993年4月11日、月面フルネリウスクレータに落下した。
 2007年9月14日に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は種子島(たねがしま)宇宙センターからH‐Aロケット13号機によって月周回衛星「かぐや(SELENE)」を打ち上げ、同年10月4日に月を周回する軌道に投入した。同機は、計画された科学観測をすべて終了した後、2009年6月11日に月面への衝突実験を行ってミッションを終了した。同機は、日本初の大型月周回衛星として月探査技術の確立を図るとともに、世界的にもアポロ計画以来の大規模月探査計画として、月全面にわたる詳細な科学データのマッピングに成功した。「かぐや」は主衛星と2機の子衛星(リレー衛星と、月の重力場観測のための電波源を搭載したVRAD(ブイラド)衛星)からなる。同機は月全域の元素分布、鉱物分布、地形・表層構造、重力分布、磁場分布など15種類の観測ミッションを行い、月全域および月周辺環境の観測データを取得・調査し、月の起源と進化の解明を大きく進展させた。また、同機に搭載されたNHK開発の月ハイビジョンカメラは、地球を遠景とした月面の鮮明な画像をテレビ映像として放映し、世界中の人々に地球の存在感を印象付けた。「かぐや」が放出したリレー衛星は「おきな」、VRAD衛星は「おうな」と愛称をつけられた。[輿石 肇・岩田 勉]

ヨーロッパ、中国、インドの月探査機

2003年9月27日、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)は電気推進エンジンなどの新技術を実証することを目的として、小型の月周回探査機スマート1(SMART1)を打ち上げ、月周回楕円(だえん)軌道に投入。X線センサーおよび赤外線センサーで月面の撮像を行った後、2006年9月3日に計画的に月面に落下衝突させてミッションを終了した。
 2007年10月24日、中国は月面地形の観測および月面資源の探査などを目的とした月探査機チャング1号(嫦娥一号)を打ち上げ、同年11月5日に月周回軌道に投入した。同機は計画された観測を終了した後、2009年3月1日に計画的に月面に落下衝突した。
 2008年10月22日、インドは月面観測を目的とした月探査機チャンドラヤーンを打ち上げた。同機は同年11月8日に月周回軌道に投入され、11月14日に月衝突機を切り離して、月南極に落下させた。その後、2009年8月29日、通信が途絶した。[輿石 肇・岩田 勉]

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世界大百科事典内の月探査機の言及

【月】より

…この位置の測定は,アポロ11号が月面にレーザー光逆反射器をおいてきてからは,これを利用して行われ,位置測定の精度は格段に向上したし,月の物理的秤動のようすも明らかになってきた。【古在 由秀】
【月探査機】
 月の成因や生成の時期,あるいは月の構成物質を調査し,そして人類の他の天体への飛行を目ざして,月へ直接探査機を送る計画が1950年代末からアメリカとソ連により開始された。月へ到達するもっとも経済的な方法は,地球を回る人工衛星の楕円軌道の遠地点を月の公転軌道に接するようにして,遠地点において衛星と月を会合させるもので,この場合月までの所要時間は約120時間となる。…

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