大学事典 「学際性」の解説
学際性
がくさいせい
ある一つの対象や目的について,複数の学問分野から研究や分析を行うことをいう。研究の態様や発展段階によって,しばしば次の四つの段階に分けられる。①対象や目的は共有しながら,複数の学問分野で個々に研究や分析を行うMultidisciplinary,②ある学問分野の知識や手法が,他の学問領域に作用し,複数の学問分野にまたがる学問分野を開拓するCross-disciplinary,③複数の学問分野が個別に研究や分析を行うのではなく,協働し,新たな知識や手法が統合されるInter-disciplinary,④複数の学問分野の研究者だけでなく,研究者ではない政策決定者,産業界,市民団体等が協働し,新たな知識や理論等を生み出すTrans-disciplinary。なお,Trans-disciplinaryは超学際性ともいわれる。単一の学問分野だけで現代の社会的課題を解決することは困難であり,また伝統的な学問分野に比べ,学際的研究の成長が著しいことから,学際的研究のいっそうの促進が課題とされている。
著者: 榎孝浩
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報