実実(読み)げにげにし

精選版 日本国語大辞典 「実実」の意味・読み・例文・類語

げにげに‐し【実実】

〘形シク〙
① 肯定し納得できるさまである。道理にかなっている。はかばかしい。
無名抄(1211頃)「和歌の会の有様の、げにげにしく優に覚えし事は、次の所にとりて、近くは範兼卿の家の会の様なる事はなし」
② 特に意図的に真実らしく見せるさまである。もっともらしい。まことしやかである。まじめくさっている。げにもらし。
徒然草(1331頃)七三「げにげにしく所々うちおぼめき、よく知らぬよしして、去ながらつまづま合はせて語る虚言は、恐しき事なり」
③ 人の心の誠実なさま。実直である。まじめである。信頼できる。
※徒然草(1331頃)三七「今更かくやは、など言ふ人もありぬべけれど、なほげにげにしく、よき人かなとぞ覚ゆる」
げにげにし‐げ
〘形動〙
げにげにし‐さ
〘名〙

げに‐げに【実実】

〘副〙 (副詞「げに」を重ねたもの)
① 「げに②」を強めたいい方。なるほどなるほど。たしかに。ごもっとも。
※枕(10C終)一六一「ありしあかつきのこといましめらるるは、知らぬか、とのたまふにぞ、げにげにとわらふめる、わろしかし」
② 「げに③」を強めたいい方。本当に。
※今鏡(1170)一〇「わが身になき事をありがほにげにげにといひて、人にわろきをよしと思はせなどするこそ、そらごとなどはいひて、罪うることにはあれ」

まこと‐まこと【実実】

感動〙 「まこと(真)(三)」を強めたいい方。
大鏡(12C前)六「まことまこと、御門の、母后御許に行幸せさせ給て、御輿よする事は」

じつ‐じつ【実実】

〘副〙 (「に」を伴って用いることもある) まことに。疑いなく。実に。
空也和讚(12C後か)「此法行せん人の身に 実々仏恩報ずべし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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