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あかつき あかつき

知恵蔵の解説

あかつき

2010年5月に打ち上げられた宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(ISAS)の金星探査機PLANET-Cの名称。金星の周回軌道をとり、金星の大気の様子や気候などを観測する予定だったが、12月の軌道投入に失敗した。探査機は現在太陽を周回しており、6年後に金星と再会合する。このときに金星の周回軌道に再投入される予定だが、エンジン破損の可能性があり見通しは厳しい。
金星は、地球に軌道が最も近い惑星であり、大きさや密度も地球に似ている。しかしながら海を持たず、大気の大部分を二酸化炭素が占める。その温室効果によって、地表温度は500度近くにも達し、気象条件は地球とは全く異なる。金星は、地球とは逆方向に自転するが、公転周期と大きな差はなく自転速度がきわめて遅い。大気が濃厚であることもあって地表付近は無風に近いが、大気の上層部では自転速度の60倍に及ぶスーパーローテーション(超回転)と呼ばれる強い東風(秒速100mほど)が吹いており、気象学の最大の謎とされている。ほかに、雲の暗部、雷発生や火山活動の有無など多くの未解明な部分がある。「あかつき」は、世界初の惑星気象衛星で金星の大気圏深部の運動等の観測によって、金星の気象を調査し、惑星の環境が作られるしくみの理解や、地球の誕生、気候変動などについての理解を深めることを目指していた。
(あかつき)とは、日の出前に東の空が白む頃。「あかつき」は、10年冬、金星が明けの明星として輝く頃に到着し、惑星気象学を新たに創出しようというイメージから名付けられた。ミッションのマスコットキャラクターとして「あかつきくん」と「きんせいちゃん」が作られ、「お届けします!あなたのメッセージ、暁の金星へ」~「あかつき」メッセージキャンペーン~と銘打って、探査機のバランスウエイトにインターネットなどで公募した26万人のメッセージを印刷して搭載している。

(金谷俊秀  ライター / 2010年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

あかつき

日本初の金星探査機で、宇宙機構の種子島宇宙センター(鹿児島県)から5月、H2Aロケット17号機で打ち上げられた。3億キロ以上の旅を経て金星に到達。電池の寿命が尽きるまでの約4年間、高度300~8万キロの楕円(だえん)軌道を1周30時間で回り、5台の特殊なカメラで金星の大気の細かな動きを観測する予定だった。地球の姉妹星である金星の観測で、地球の気象研究も進むと期待されていた。日本の惑星探査は、1998年に火星探査丘のぞみ」が打ち上げられたが、軌道修正の失敗で予定の観測ができなかった。2003年に打ち上げられた小惑星探査丘はやぶさ」は6月、数々のトラブルを克服し、7年を経て地球に帰還した。

(2010-12-08 朝日新聞 夕刊 1総合)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

デジタル大辞泉プラスの解説

あかつき

福島県など全国で生産されるモモ。大きさは250g程度。果皮は鮮やかな桃色に着色し、果肉はしまりがよくジューシーで甘い。農研機構果樹研究所が「白桃」と「白鳳」の交配により育成した品種で、1979年品種登録。その後福島県の果樹試験場が改良を重ねて同県の主力品種となる。

あかつき

NHKのドラマシリーズ「朝の連続テレビ小説」の作品のひとつ。1963年4月~1964年4月放映。脚本:山下与志一。音楽:齊藤一郎。出演:佐分利信、荒木道子ほか。原作は、武者小路実篤による『暁』『幸福な家族』『愛と死』などの家族ものの作品群。大学教授を辞め、画家となった佐田正之助とその家族の生活を軽妙に描く。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

あかつき
あかつき

宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))が2010年(平成22)にH-Aロケットにより打ち上げた、日本初の金星探査衛星。計画名は「PLANET-C」または「VCO(Venus Climate Orbiter、金星気候観測オービター)」。計画当初は2007年にM-ロケットで打ち上げる予定であったが、計画の遅れでロケットがH-Aに変更された。「あかつき」の打上げは成功したものの、軌道投入用エンジンであるスラスターの異常燃焼により金星周回軌道への投入に失敗し、金星に近い軌道で太陽を周回していた。2015年に金星周回軌道への再投入が行われ、成功が確認された。「あかつき」の軌道は金星からもっとも遠い距離(遠金点)が約44万キロメートル、金星からもっとも近い距離(近金点)が約400キロメートルで、周期が約13.6日の楕円軌道となった。「あかつき」はスーパーローテーションとよばれる惑星規模の高速風(毎秒100メートル)など、従来の気象学では説明ができない金星の大気現象のメカニズムの解明を主目的としている。加えて、赤外線により金星の地表面の物性や火山活動を調べ、また地球出発から金星到着までの間に存在する惑星間の塵(ちり)の分布(黄道光)を観測する。衛星本体の重量は500キログラムで、小惑星探査機「はやぶさ」の基本システムを活用している。観測機器とミッションは以下の通り。
(1)金星表面からの赤外線をとらえる観測波長1マイクロメートルの赤外線カメラ(IR1)により、金星表面、低層雲や水蒸気、火山の観測などを行う。
(2)雲層より下の大気からの赤外線をとらえる観測波長2マイクロメートルの赤外線カメラ(IR2)により、雲や一酸化炭素の分布、動態を観測する。
(3)雲が発する中間赤外線をとらえる中間赤外カメラ(LIR)により、雲の温度分布と動きを観測する。
(4)太陽からの紫外線が雲に散乱される光をとらえる紫外線イメージャー(UVI)により、雲頂にある二酸化炭素などを観測する。
(5)雷などからの発光をとらえる雷・大気カメラ(LAC)により、雷や大気の化学的発光を観測する。
 「あかつき」は、2016年4月から本格観測を開始した。UVIセンサーでは、雲頂の吸収物質の分布、細かな雲構造が鮮明に映し出され、高精度で雲頂高度における風速分布を導出することができた。また、同時に撮像したUVIの波長283ナノメートルの画像では、二酸化硫黄(SO2)の分布を示しており、雲の形成・消失にかかわる物理プロセスが推定できることを期待させる。[森山 隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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