寒地病案(読み)かんちびょうあん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「寒地病案」の意味・わかりやすい解説

寒地病案
かんちびょうあん

医学書。蘭方(らんぽう)医大槻玄沢(おおつきげんたく)の著。ロシア来航により、幕末蝦夷(えぞ)地の警備緊要となるに伴い、寒冷地での疾病・医療も問題となった。1808年(文化5)仙台藩もその警備を幕府から命じられ、そこで藩医大槻玄沢は、翻訳書の『軍中備要方』『ヘイステル内科書』を引用しながら、軍陣医学書ともいうべきこの書を著した。このなかでビタミンC欠乏による壊血病の原因・症状・療法を食事療法も含め記述している。

内田 謙]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

戒厳令

一般的には指定地域で、国の統治権の全部または一部を軍に移行し、市民の権利や自由を保障する法律の一部効力停止を宣告する命令。戦争や紛争、災害などで国の秩序や治安が極度に悪化した非常事態に発令され、日本...

戒厳令の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android