寝穢い(読み)イギタナイ

デジタル大辞泉 「寝穢い」の意味・読み・例文・類語

い‐ぎたな・い【×穢い】

[形][文]いぎたな・し[ク]《「い」は寝ることの意》
眠りをむさぼっている。眠り込んでいてなかなか起きない。「―・く眠りほうける」
寝相が悪い。
「―・く枕を外し、差櫛をね飛ばし」〈露伴・艶魔伝〉
[補説]「いぎたない」は寝方の見苦しいさまをいう。「い」を接頭語として「いぎたない食べ方」のように「みぐるしい・だらしない」の意に使うのは誤り。

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精選版 日本国語大辞典 「寝穢い」の意味・読み・例文・類語

い‐ぎたな・い【寝穢】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]いぎたな・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「い」は寝ることの意 )
  2. 眠りをむさぼっている。起きているべき時に眠りこけている。寝坊である。ねむたがっている。⇔いざとい
    1. [初出の実例]「昔はいぎたなくおはせし殿の」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開中)
  3. 寝ぞうが悪い。
    1. [初出の実例]「いぎたなき海鹿(あしか)をなぶる鵆(ちどり)かな」(出典:俳諧・風月集(1766))
    2. 「いぎたなく枕を外し、差櫛を刎ね飛し」(出典:艶魔伝(1891)〈幸田露伴〉)
  4. ( 「い」が強調のための接頭語のように用いられて ) だらしがない。見苦しい。
    1. [初出の実例]「ふみちゃんは、その枕元へ来ていぎたなく坐りながらかう言った」(出典:天国の記録(1930)〈下村千秋〉六)

寝穢いの派生語

いぎたな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

ね‐ぎたな・い【寝穢】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]ねぎたな・し 〘 形容詞ク活用 〙 寝ぼうである。容易に目ざめない。いぎたない。

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