下村千秋(読み)シモムラ チアキ

20世紀日本人名事典 「下村千秋」の解説

下村 千秋
シモムラ チアキ

大正・昭和期の小説家



生年
明治26(1893)年9月4日

没年
昭和30(1955)年1月31日

出生地
茨城県稲敷郡朝日村(現・阿見町)

学歴〔年〕
早稲田大学英文科〔大正8年〕卒

経歴
読売新聞に入ったが4カ月で退職。浅原六郎、牧野信一らと同人誌「十三人」を創刊、「ねぐら」などを発表、志賀直哉に認められた。大正13年第1創作集「刑罰」を刊行以後創作に専念し、昭和2年脊椎カリエスになった妻との生活を描いた「彷徨」「炎天の下」などを発表したが、昭和初期プロレタリア文学の影響もあり、私娼の悲惨さを描いた「天国記録」、ルンペン文学の先駆となった「街の浮浪者(ルンペン)」などを書くようになり同伴者作家として活躍。以後「暴風帯」「生々流転」などを経て20年長野県穂高町に疎開戦後帰京し農村に取材した小説を多く書き、27年には戦後教育を鋭く批判した「中学生」を発表。作品集に「しかも彼等は行く」「彷徨」「中学生」などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

関連語 筑摩書房 学歴

日本大百科全書(ニッポニカ) 「下村千秋」の意味・わかりやすい解説

下村千秋
しもむらちあき
(1893―1955)

小説家。茨城県生まれ。早稲田(わせだ)大学英文科卒業後、同窓の牧野信一らと同人誌『十三人』を創刊。ここに載せた小説『ねぐら』が志賀直哉(なおや)に認められ、以後志賀に傾倒した。第一創作集『刑罰』(1924)を刊行し、昭和期にはプロレタリア文学の影響を受けて同伴者作家として活躍。作品集『天国の記録』(1931)などで、当時の社会問題として顕在化しつつあったルンペン・プロレタリアートを扱い、ルンペン文学流行の先駆となる。戦後は教育問題にも関心を向け、『中学生』(1952)を残した。

[柳沢孝子]

『『現代日本文学全集86 昭和小説集1』(1957・筑摩書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「下村千秋」の解説

下村千秋 しもむら-ちあき

1893-1955 大正-昭和時代の小説家。
明治26年9月4日生まれ。同人誌「十三人」に発表した「ねぐら」で志賀直哉にみとめられ,大正13年「刑罰」を刊行。のち私娼や失業者をえがいた「天国の記録」「街の浮浪者(ルンペン)」はルンペン物流行の先駆となる。昭和27年戦後教育を批判した「中学生」を発表。昭和30年1月31日死去。61歳。茨城県出身。早大卒。

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367日誕生日大事典 「下村千秋」の解説

下村 千秋 (しもむら ちあき)

生年月日:1893年9月4日
大正時代;昭和時代の小説家
1955年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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