射付(読み)いつける

精選版 日本国語大辞典 「射付」の意味・読み・例文・類語

い‐つ・ける【射付】

〘他カ下一〙 いつ・く 〘他カ下二〙
① 矢を射て物に当てる。射当てる。
今昔(1120頃か)二五「極く弓勢射る者也とも、不射付(いつけず)して」
行人(1912‐13)〈夏目漱石〉兄「母から疑惑の矢を胸に射付(イツ)けられたやうな気分で」
② 矢で物を射通し、それを他の物に刺し留める。
※今昔(1120頃か)二七「野猪、木に被射付(いつけられ)てぞ死て有ける」
③ (比喩的な用法) 日の光などが物を強く照らす。照りつける。
南小泉村(1907‐09)〈真山青果〉七「華(はなや)かな夕日がつっとその白地浴衣に射付(イツ)けた」

い‐つけ【射付】

〘名〙
① 矢を射当てること。
浄瑠璃曾我会稽山(1718)一「鹿(しし)論未落居、二本の矢は射つけの通」
武家名目抄(19C中か)弓箭部「つぐらと云ものの事ねこかきにしてきりきりと巻てこくちを射るもの也。〈略〉是をいつけ共云也」

いり‐つ・ける【射付】

〘他カ下一〙 強い光などを物に当てる。
趣味遺伝(1906)〈夏目漱石〉一「沙河の日に射り付けられれば大抵なものは黒くなる」

い‐つ・く【射付】

〘他カ下二〙 ⇒いつける(射付)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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