武家名目抄(読み)ブケミョウモクショウ

デジタル大辞泉 「武家名目抄」の意味・読み・例文・類語

ぶけみょうもくしょう〔ブケミヤウモクセウ〕【武家名目抄】

江戸後期の有職故実書。381冊。塙保己一はなわほきいち編。保己一の死後中山信名松岡辰方継承和学講談所により万延元年(1860)ごろ完成。武家の有職故実に関する名目職掌制度衣服など16の部門分類。各項ごとに引例考証を加えたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「武家名目抄」の意味・読み・例文・類語

ぶけみょうもくしょうブケミャウモクセウ【武家名目抄】

  1. 江戸後期の故実書。三八一冊。塙保己一編。成立年未詳。保己一の死後、中山信名・松岡辰方が継承、和学講談所により完成。武家の有職故実に関する名目を職名儀式弓箭など一六部に分類して各項ごとに典籍から例を引き、考証を加える。同名の著が二、三ある。

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改訂新版 世界大百科事典 「武家名目抄」の意味・わかりやすい解説

武家名目抄 (ぶけみょうもくしょう)

武家故実書。塙保己一(はなわほきいち)ら編。381冊。武家興起以来の諸事象を故実として,名称品目を撰出類別し,その典拠を旧記に求めて例証し,ときに按文を加えたもの。職名,称呼,居所,衣服,公事(くじ),文書,歳時,儀式,弓箭(きゆうせん),甲冑刀剣旗幟輿馬,術芸,軍陣,雑の16部門に大別し,付録を伴う。術芸部など所々に虫損散逸による欠落がある。保己一が江戸幕府の命により和学講談所で編纂に着手し,中山信名,後に松岡辰方らが従事して完成した。《増訂故実叢書》に収録。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「武家名目抄」の意味・わかりやすい解説

武家名目抄
ぶけみょうもくしょう

鎌倉時代以後の武家に関する職掌,制度,衣服などを解説した書。 381冊。塙保己一 (はなわほきいち) 編。江戸幕府の命により編纂。職名,呼称,居処,衣服,公事,文書,歳時,儀式,弓箭,甲冑,刀剣,旗幟,輿馬,術芸,軍陣,雑の 16部に大別。塙保己一の死の直前,総目録と凡例とが幕府に献上され,保己一死後は,中山信名 (1787~1836) が松岡辰方を助手として編纂を継続。彼らの死後,編纂は中絶。万延1 (1860) 年以降和学講談所員によって再開され,まもなく完成。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「武家名目抄」の意味・わかりやすい解説

武家名目抄
ぶけみょうもくしょう

武家の職掌、制度、衣服、武具など諸般にわたる名目を、諸書から抄出して類挙解説した書。職名、称呼、居処、衣服、公事(くじ)、文書(もんじょ)、歳時、儀式、弓箭(きゅうせん)、甲冑(かっちゅう)、刀剣、旗幟(きし)、輿馬(よば)、術芸、軍陣、雑の16部門に分けている。塙保己一(はなわほきいち)が江戸幕府の命で編集に着手し、その没後は中山信名、松岡辰方(ときかた)が受け継ぎ、彼らの死後一時中断したが、和学講談所員によって完成。381冊。武家制度研究に重要な書である。『増訂故実叢書(そうしょ)』所収。

[小野信二]

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旺文社日本史事典 三訂版 「武家名目抄」の解説

武家名目抄
ぶけみょうもくしょう

江戸時代,鎌倉時代以降の武家に関する職掌・制度・衣服などの名目を解説した書
全381冊。塙保己一が幕府の命で編纂に着手したが,その死後,中山信名 (のぶな) ・松岡辰方 (ときかた) らがこれを継ぎ,途中一時中断されたが,1860年ころ和学講談所員の協力により完成した。武家制度の研究に重要な文献。

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世界大百科事典(旧版)内の武家名目抄の言及

【百科事典】より

…この書は近世最大の百科事典で,内容もよく整っているが,弘賢の死により1000巻の計画は560巻で中絶した。また,塙保己一(はなわほきいち)が幕府の命によって編纂を始めた《武家名目抄(ぶけみようもくしよう)》381巻は,武家の社会と文化に関する百科事典であった。 江戸時代後期の学者文人たちは,広く古典を渉猟し,諸国の事情を聞くなどして,知識を蓄積することを競った。…

【和学講談所】より

…1793年(寛政5),江戸麴町の裏六番丁の宅地を借りて幕府の許可を得て創立,95年4ヵ所の町屋敷からの年々の上納金50両を下付され雑費に充当することになり,また和学御用筋は林大学頭支配が定まった。前から続行中の《続群書類従》の編集が続けられたが,1805年(文化2)表六番丁に移転し,毎年金60両の経費で〈史料〉と《武家名目抄》の編集も業務とした。中山信名屋代弘賢,関口行之,児山紀成ら常時7,8名の編纂員が従事した。…

※「武家名目抄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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