わら製の保育用具。イヅミとか,エジコなどともよぶ。大小いろいろに作って冬期には飯の保温用にも使う。イヅミは飯詰の意である。秋田ではイヅミ,青森・岩手ではイヅコ,エジコ,信州北部から越後にかけてはツグラ,フゴ,佐渡ではコシキ,東海地方ではエジメ,クルミ,三重県ではヨサフゴという。イヅミは多く中部地方から東北地方の寒い地方で使われている。ところによって製法や形が少しずつちがっているが,多くわら製で臼型に作り,底にわらをしきその上にもみがら,木炭灰などをあつくしき,子どもの着ものをまくっておむつのまま座らせふとんで包む。人手のない農村では,乳児ははい出すまでこの中に入れて育てられた。冬は日光のあたるところにおくが,昼間は抱き上げることが少なく,泣くと揺り動かしてやる。秋田県には木製のものがあり,埼玉県には竹製のユリカゴがある。ツグラは1日でこしらえ上げないと子が育たぬといい,からのまま運ぶのを嫌う。他家から借りてくるときは中へ小石を一つ入れる。生児を三日祝いまたはお七夜に,初めてツグラに入れて祝いの席に着かせるイヅミスエの風もある。
→揺籃(ゆりかご)
執筆者:大藤 ゆき
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