日本大百科全書(ニッポニカ) 「小間使」の意味・わかりやすい解説
小間使
こまづかい
(1)江戸時代、朝廷において使番(つかいばん)の下になる末席の下級の武士。奥向きの女官である局(つぼね)、女嬬(にょじゅ)などの出す手紙入りの文筥(ふばこ)を使番に渡したり、天皇の服用する薬の入った薬籠(やくろう)を下僕から受け取って御錠口(ごじょうぐち)で女嬬ないしは表使に渡したりする。また非蔵人(ひくろうど)の配膳(はいぜん)を行う。ときには、宮家、摂家、大名などの献上物を奥の女嬬に取り次いだり、命婦(みょうぶ)、女蔵人(にょくろうど)の社寺参詣(さんけい)および私宅へ行く際に供をする。
(2)江戸時代、幕府の雑用にあずかる下級の者。表小間使、広敷(ひろしき)小間使、風呂屋(ふろや)小間使などがある。
(3)明治時代以降、大家、大店(おおだな)などのおもに女子の奉公人のことをいう。ただし、主人家族の身の回りの世話をするが、勝手向きなどの家事には携わらない。
[芳井敬郎]