山上宗二記(読み)やまのうえのそうじき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「山上宗二記」の意味・わかりやすい解説

山上宗二記
やまのうえのそうじき

茶道の秘伝書。千利休(せんのりきゅう)の高弟山上宗二が既述されていた「珠光(じゅこう)一紙目録」や「茶器名物集」などの書を底本とし、利休流の茶風を追加して成書としたもの。宗二が意図したところは道具目利(めきき)と名物帳としての名器分類を果たそうとしたものであり、利休とその時代の佗(わ)び茶の本質を知ることのできる利休流茶法の秘伝書ということができる。宗二が天正(てんしょう)16年(1588)正月21日付で1子道七(どうしち)にあてた『伊勢(いせ)屋道七宛(あて)伝書』をはじめとして、『桑山修理大夫(しゅりだゆう)宛伝書』(同年2月27日付)、『雲州(うんしゅう)岩屋寺宛伝書』(同年2月27日付)、『林阿弥(りんあみ)宛伝書』(同年5月吉日付)、『板部岡江雪斎(いたべおかこうせっさい)宛伝書』(天正17年2月付)、『皆川山城守(やましろのかみ)宛伝書』(天正18年3月吉日付)などの諸本が伝えられる。

[筒井紘一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の山上宗二記の言及

【山上宗二】より

…一時,前田利家を頼って加賀に召されたが,やがて浪人,高野山に登るなど流浪ののち,1588年(天正16)東国に下り小田原北条氏を頼った。名物記であり,また利休茶の湯の書として名高い《山上宗二記》は,翌89年に同書を北条氏の家臣板部岡江雪(いたべおかこうせつ)に与えていることから,この間に編述されたらしい。90年秀吉の小田原攻めに,利休のとりなしによるものか同地で伺候したようだが,そこでもまた秀吉の意に逆らって耳や鼻をそがれたあげく,斬刑に処せられている。…

※「山上宗二記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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