改訂新版 世界大百科事典 「帝国保険法」の意味・わかりやすい解説
帝国保険法 (ていこくほけんほう)
Reichsversicherungsordnung
1880年代に創設された疾病保険,災害保険,廃疾保険に新たに遺族保険を加えて1911年に制定されたドイツの統一的社会保険立法。ドイツ国社会保険法とも訳される。全体は6編によって構成され,うち3編が疾病,災害,年金の各保険に,残りが総則と共通規定にあてられる。法律の内容はその後たびたび改められたが,構成はほぼそのままの形で今日まで引き継がれた。法律制定のねらいは労働者保険に関する法規定や所管庁の統一化にあったが,同時に遺族保険の導入,適用範囲の拡大などの制度改善も行われた。第2次大戦後社会保障改革に関連して社会保障立法全般の統一化の必要性が叫ばれ,それに応えて10編から成る社会法典Sozialgesetzbuchが編纂されることになった。第1編総則の1976年施行に続いて逐次編纂が続けられ,その完成によって帝国保険法はそこに吸収されることになる。
執筆者:保坂 哲哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報