朝日日本歴史人物事典 「帥升」の解説
帥升
2世紀初めの倭国の王。師升とも書く。帥升(師升)は個人名でなく首長の称号か。『後漢書』安帝紀と倭伝によると,永初1(107)年帥升らが生口(奴婢か)160人を連れて朝貢したという。帥升は北宋版『通典』によれば倭の面土国の王とあり,3世紀の伊都か,末盧に当たる,今の北部九州にあった国の支配者であろう。北部九州のいくつかの国の首長=王たちが政治的な提携をして共同で中国との外交を始め,そのひとり帥升が使者となったこと,倭国は朝貢物となる生口がいた階層社会であったことがわかる。
(鈴木靖民)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報