生口(読み)いきぐち

精選版 日本国語大辞典 「生口」の意味・読み・例文・類語

いき‐ぐち【生口】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 口寄せ一つで、巫女(みこ)が生きている人の霊魂を招いて語らせること。また、その言葉。⇔死口(しにくち)
    1. [初出の実例]「合ひの枕の与兵衛さま忘れがたなきいにしへは、いきぐちよせた我なれど、今しにぐちにより人が語りたいぞや問はれたやなふ」(出典:浄瑠璃・卯月の潤色(1707頃)中)
  3. いけくち(生口)

いけ‐くち【生口】

  1. 〘 名詞 〙 証言する人。証人
    1. [初出の実例]「仍搦取三人乞食法師〈略〉於二人者其頸、失生口了」(出典高野山文書‐嘉祿二年(1226)一一月二八日・関東御教書)

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普及版 字通 「生口」の読み・字形・画数・意味

【生口】せいこう

捕虜。また、奴隷。〔三国志、魏、東夷伝倭人〕男女生口三十人を獻上し、白珠五千・孔大句珠二枚・異雜錦二十匹を貢す。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生口」の意味・わかりやすい解説

生口
せいこう
saenggu

朝鮮古代戦争における捕虜。三国 (高句麗新羅百済 ) 時代の戦争のおもな目的は捕虜の獲得であったといわれる。高句麗の広開土王碑をはじめ,古代の文献には「生口」献上記録がしばしば出てくる。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「生口」の解説

生口
せいこう

古代において売買・献上・獲得の対象とされた生きている人間のこと。用例は中国正史に広くみられ,「後漢書倭伝」や「魏志倭人伝」には倭国から中国王朝へ献上されたことや,持衰(じさい)(呪術師)への報酬として与えられたことなどが記される。生口は一種の物品名で,奴婢のような身分呼称とは区別されるべきであろう。

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旺文社日本史事典 三訂版 「生口」の解説

生口
せいこう

生きた人間の意で,奴婢 (ぬひ) などの奴隷
『後漢書』東夷伝に107年倭の国王帥升 (すいしよう) らが後漢の安帝に160人を献上,『魏志』倭人伝に239年邪馬台国 (やまたいこく) の女王卑弥呼 (ひみこ) が魏に男4人,女6人の生口を献上との記事がある。

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世界大百科事典(旧版)内の生口の言及

【口寄せ】より

…口寄せには神霊ののりうつるカミオロシと死霊の憑依するホトケオロシがあり,前者を神口(かみくち),後者を死口(しにくち)という。ほかに生死不明の霊魂の憑く生口(いきくち)もまれにみられるが,もっとも多くは死口寄せである。東北地方のイタコは,死後100日以内の死者を新ボトケといい,それ以前の死霊を古ボトケと称し,両者の口寄せ方式に相違がみられる。…

【巫女∥神子】より


[口寄せ巫女]
 神霊や死霊の憑依をうけて精霊の意思を人々に伝える巫女をいう。ときには行方不明となった生者の口寄せもするが,それを生口(いきくち)と称する。これに対し死霊の場合を死口(しにくち),神霊の憑着による託宣を神口(かみくち)と区別し,巫法に若干の違いをみせている。…

※「生口」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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