化学辞典 第2版 「帯域融解」の解説
帯域融解
タイイキユウカイ
zone melting
ゾーンメルティングともいう.偏析現象を利用して半導体材料,金属,塩,有機物,ポリマーなどを精製したり(zone refining),濃度を均質化したり(zone leveling),単結晶を育成したりする方法.不純物を含む棒状試料の一部に,たとえば高周波加熱によって溶融帯をつくり,徐々に一方向へ移動させると,ふたたび凝固した部分の濃度 CS は初材料の濃度 CL とは一般に異なる.その度合は分配係数K(= CS/CL)で表され,K < 1の場合には,溶融帯の移動によって材料は図のL,x,lおよび帯移動回数で定まるある濃度まで純化される.また,あらかじめ適当な不純物を左端あるいは両端(この場合にはヒーターを往復させる)にドープして,同操作を行えば試料濃度は均質化される.さらに,左端に種子結晶を接合しておくと,試料棒全体を単結晶にすることもできる.実用的には,環状ヒーターを並列に数個用い,試料あるいはヒーターを毎時間数 mm 程度移動させて連続的に能率よく操作される.本法は,高純度のSi,Geなど半導体単結晶の工業的製作に広く用いられている.また,微量成分分析における不純物の濃縮方法として,冶金金属間化合物を合成したりすることにも用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報