廃滓(読み)はいさい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「廃滓」の意味・わかりやすい解説

廃滓
はいさい

鉱山製錬所、化学工場などから出る泥状の廃棄物。金属鉱山では採掘したままの鉱石は多量の不用な鉱物岩石を含み、そのままでは利用できず、細かく粉砕して単体分離を行ったあと、浮遊選鉱その他の方法で選別し精鉱を採取する。このとき大量の廃滓が生ずる。精鉱中にもなお不純物が含まれ、製錬によって金属を採取した残りが廃滓(スラグという)となる。アルミ製錬における「赤泥(せきでい)」もその一つであり、製鉄廃滓としては高炉滓、転炉滓などがある。これらの廃滓はわが国全体では1976年度(昭和51)で年間5000万トンにも達し、その処理、処分が問題である。鉱山では廃滓ダム建設用地の取得に困難をきたし、臨海工場でも埋立てがままならぬ状態である。セメント原料、土建材料、土壌改良剤などへの有効利用が一部なされているが、最近、製鉄廃滓を細骨材にする研究が進められている。

[麻生欣次郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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