廷臣論(読み)ていしんろん(その他表記)Il cortegiano

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「廷臣論」の意味・わかりやすい解説

廷臣論
ていしんろん
Il cortegiano

イタリアの作家バルダッサーレ・カスティリオーネ著書。4巻。1513~18年執筆,1528年刊。16世紀の宮廷に仕える廷臣と貴女の模範像とその心得,君主と臣下の関係を問答形式で記したもので,しばしば主君の模範像を規定したマキアベリの『君主論』と比較される。16世紀の最も著名な書物の一つであり,イタリア国内はもとよりスペインフランスイギリス文学および宮廷生活に多大な影響を与えた。

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世界大百科事典(旧版)内の廷臣論の言及

【宮廷】より

…フィレンツェのメディチ家,ミラノのスフォルツァ家はその典型である。作家カスティリオーネはウルビノの宮廷に範をとり,優雅さと良き趣味とを兼ね備える典型的宮廷人の姿をその著《廷臣論》(1528)に描いたが,これはやがて最盛期を迎える宮廷文化の典範となるべきものであった。 これら領邦君主の宮廷は,中央への権力集中が進展する16世紀に入ると,なお割拠状態の続いたドイツ,イタリアを別とすれば,しだいにその栄光を失い,国王の宮廷がその独占的な地位を明確にし始める。…

【宮廷音楽】より

…ルネサンスにおいて,ブルゴーニュやネーデルラントの音楽がドイツ語圏の宮廷で広く使われたり,ルイ王朝の音楽やイタリア・バロックの音楽が国を超えて使われたのは,音楽上のモデルというだけでなく,政治・文化のモデルとしての機能があったからである。音楽,舞踊を含めて宮廷人のあり方を記したB.カスティリオーネの《廷臣論》(1528)が英訳もされたことは,こうしたモデル意識をよく表している。他方,東洋に目を転じれば,東アジアでは,中国が〈モデル国家〉の役割を果たしてきたため,その音楽が日本と朝鮮の宮廷に入った。…

※「廷臣論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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