引張り強度(読み)ひっぱりきょうど(英語表記)tensile strength

日本大百科全書(ニッポニカ)「引張り強度」の解説

引張り強度
ひっぱりきょうど
tensile strength

工業材料の機械的性質の一つで、材料に引張り力が加わったときの材料の強さを表す。抗張力ともいう。引張り試験において、棒状の試験片を軸方向に引っ張るとき、試験片が破断するまでに耐えた最大の荷重を試験片の原断面積で除した値で定義される。一方、試験片が破断したときの荷重を、破断した部分の最小断面積で除した値は破断強度とよばれ、これは試験片に生じた最大応力に相当する。しかし、機械や構造物の設計には引張り強度のほうが破断強度よりも基本的で重要である。引張り強度は材料固有の機械的性質として、きわめて安定した値をもつが、材料の種類によっては試験片の形や寸法、引張り速度や試験温度などの試験条件に依存して変化する場合もある。機械や構造物の材料としてもっとも多く使用される炭素鋼においては、一般に炭素含有量の増加とともに引張り強度は大きくなる。炭素含有量0.2%程度の低炭素鋼の引張り強度は1平方ミリメートル当り300~400Nであるが、0.6%程度の高炭素鋼では600~700Nである。

[林 邦夫・中條祐一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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