翻訳|carbon steel
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鉄と炭素の合金で、炭素含有量が2%以下のものをいう。鉄鉱石は溶鉱炉(高炉)でコークスを燃焼させて生じる一酸化炭素により鉄に還元されるが、これは約4.5%の炭素を含み、銑鉄(せんてつ)とよばれる。これを転炉に入れて酸素を吹き込み、鉄中の炭素を一酸化炭素として酸化除去して鋼とし、余分に入った酸素を除くためにマンガンやケイ素の鉄合金(脱酸剤)を適量添加したのちに固める。このようにして得られる炭素鋼はその炭素含有量によって次のように分類される。純鉄(0.03%以下)、極(ごく)軟鋼(0.03~0.12%)、軟鋼(0.13~0.20%)、半軟鋼(0.21~0.35%)、半硬鋼(0.36~0.50%)、硬鋼(0.51~0.80%)、最硬鋼(0.81~2.0%)。近年はこのように細分割してよぶことはまれであり、半硬鋼までを機械構造用炭素鋼、硬鋼と最硬鋼とをあわせて炭素工具鋼に分類したり、あるいは純鉄および極軟鋼を極低(ごくてい)炭素鋼、軟鋼を低炭素鋼、半軟鋼と半硬鋼とを中炭素鋼、硬鋼と最硬鋼とを高炭素鋼とよぶことが多い。炭素含有量が高いほど鋼は硬くなるがもろくなる。極軟鋼はプレス成形用薄板に、軟鋼は溶接が可能で、大形構造物用に、半軟鋼と半硬鋼とは車軸などの機械構造部材に、硬鋼と最硬鋼は各種工具や刃物などに用いられる。
[須藤 一]
普通鋼ともいう。おもな合金元素として炭素を約2%以下の割合で含む鋼で,製鋼のさいにやむをえず入る不純物の微量元素以外は含まないものをいう。この微量元素は炭素,ケイ素,マンガン,リン,硫黄の5元素で,炭素とマンガンの量で炭素鋼の特性がほぼ決まる。
→鋼(はがね)
執筆者:木原 諄二
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約2質量% 以下の炭素を含むFeとCの合金.ただし,炭素鋼中には,通常,脱酸剤として添加されたSi,Mn,および不純物元素であるP,Sが含まれている.熱処理温度を適切に選定することにより,オーステナイト単相組織に制御可能であることが,炭素鋼の条件である.Fe-Fe3C系状態図によると,オーステナイト中の最大炭素固溶量は,2.14質量% であることがわかる.“約2質量% 以下”とは,オーステナイト単相組織に制御可能な炭素量という意味である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…ニッケルNi,クロムCr,タングステンW,あるいはモリブデンMoなどはもとより,普通元素に属するものでも,特殊な性質を付与する目的である濃度範囲をこえて加えた場合,たとえばケイ素鋼板のSi,耐摩耗鋳鋼のMnなどはもちろん合金元素とみなされる。合金元素を含む鋼を合金鋼,合金元素を添加していない鋼を普通鋼または炭素鋼という。特殊鋼は合金鋼とふつう同意義に使われるが,その定義は国により異なる場合がある。…
…このうち鋼の材質を支配しているのは炭素であり,他の四つの元素は鉱石からの製銑製鋼の過程で必然的に混入する不純物である。炭素が主役を演ずるという意味で普通鋼のことを炭素鋼ともいうが,特殊鋼の場合は一般には合金鋼と呼ばれる。鋼材に使用目的に適合した性能を与えるためには,まず成分を調整する必要がある。…
…鋼は種々の方法で分類される。炭素鋼と合金鋼,普通鋼と特殊鋼は主として化学成分による分類であるが,製造法,形状の相違による分類などもある(表参照)。化学成分による分類について簡単に説明する。…
※「炭素鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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