日本大百科全書(ニッポニカ) 「心は孤独な猟人」の意味・わかりやすい解説
心は孤独な猟人
こころはこどくなりょうじん
The Heart Is a Lonely Hunter
アメリカの女流小説家カースン・マッカラーズの最初の長編小説。1940年刊。南部ジョージア州のある町を舞台に孤独と愛の問題を描く。口がきけないシンガーは、同じ障害をもつ友人アントナポーロスが精神科病院へ送られると孤独に陥る。知性と思いやりに満ちた彼の周囲には、孤独な心を抱く少女ミック、革命運動家ブラウント、黒人医師コープランド、カフェの主人ブラノンが愛を求めて集まってくるが、アントナポーロスの死を知ったシンガーの自殺によって彼らの願望は果たされずに終わる。中心人物シンガーが身障者であることは、作者の考える愛の本質を象徴的に示している。
[武田千枝子]
『江口裕子訳「心は孤独な猟人」(『現代アメリカ文学選集9』所収・1968・荒地出版社)』
[参照項目] |