日本大百科全書(ニッポニカ) 「マッカラーズ」の意味・わかりやすい解説
マッカラーズ
まっからーず
Carson McCullers
(1917―1967)
アメリカの女流小説家。ジョージア州に生まれる。初めピアニストを志してニューヨークへ出るが、その直後に授業料を紛失し音楽家を断念、コロンビア、ニューヨーク両大学の創作クラスで学ぶ。旺盛(おうせい)な創作活動期は1940年代で、最初の長編『心は孤独な猟人』(1940)は、孤独からの脱出を求める寂しい心を描いて賞賛された。以後、南部の陸軍駐留地内の殺人事件を扱った『金色の眼(め)に映るもの』(1941)、12歳の孤独な少女の心理を描く『結婚式のメンバー』(1946)などで、孤独と愛の問題を一貫して追究。後者は作者により脚色(1950)され、アメリカ演劇史上、重要な作品とみなされている。その後はリウマチ熱のため健康が優れず、失敗作といわれるものが多い。彼女の文学は写実性と巧みなアレゴリー(寓意(ぐうい))のうえに成り立ち、主題の音楽的展開、グロテスクな人物や状況の設定を特色としている。
[武田千枝子]
『渥美昭夫訳『結婚式のメンバー』(1972・中央公論社)』