内科学 第10版 「心原性脳梗塞」の解説
心原性脳梗塞(心・肺疾患に伴う神経系障害)
心原性脳梗塞は脳梗塞全体の約1/6にみられ,基本的に脳塞栓症が大部分を占める.塞栓原は心臓内の壁在血栓であることが多い.突発的に脳血管が閉塞され,側副血行が未発達のため,皮質を含む脳梗塞が広範に出現し,脳血栓症よりも重篤になりやすい.超早期に線溶療法が奏効し,栓子が超早期に再開通すると症状が劇的に改善し,spectacular shrinkage deficitとよばれる.一方で,出血性脳梗塞となる率も高い.おもな原因としては非弁膜性心房細動,リウマチ性心弁膜症,虚血性心疾患,先天性心疾患,僧帽弁逸脱症候群,心房粘液腫,心臓人工弁置換後,洞不全症候群,感染性心内膜炎などがある.最も多いのは非弁膜性心房細動で,全体の約45%を占め,特に心房細動が洞調律に復したときに壁在血栓が飛びやすい.ついで4週間以内の心筋梗塞が15%と多い.【⇨15-5-7)】[高 昌星]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報