忌言葉(読み)いみことば

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「忌言葉」の意味・わかりやすい解説

忌言葉
いみことば

普通の言葉を使用することを忌んで代りに用いる特定の言葉。一般にある特定の集団,時,ところなどで用いられる。古くから行われ,『延喜式 (えんぎしき) 』神祇巻には伊勢斎宮の忌言葉が載っている。内七言として仏教関係の用語を忌み,仏を中子,経を染紙,塔を阿良良岐,僧を髪長とし,外七言として死をナホル,病をヤスミ,血をアセ,墓をツチクレなどと神事に使う忌言葉をあげてある。特殊の職業者が使うものとしては,マタギなどの猟師が用いる山言葉や,漁師沖言葉がある。死に関する忌言葉は古来さまざまあり,亡くなる,隠れるなども忌言葉として発生したものである。歳神を迎える正月にも正月言葉があり,寝ることを稲を積む,ねずみのことを嫁が君という。また1日のうち夜にだけ使う夜言葉というのもあって,塩を浪の花,糊をお姫様という。

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