中子(読み)ナカゴ

デジタル大辞泉 「中子」の意味・読み・例文・類語

なか‐ご【中子/中心】

物の中央部。中心。また、しん
「―のできた飯を噛んで食べた」〈嘉村途上
ウリ類の中心の種子を含んだ柔かな部分。
(「茎」とも書く)刀剣類の、つかに入っている部分。
入れ子づくりのもので、中に入るもの。「重箱の―」
中空鋳物を作る際に、中空となる部分に入れる鋳型外形の鋳型は主型おもがたという。
やじりの根もと。の中に入る部分。
三味線胡弓こきゅうさお下端で、胴の中に隠れている部分。中木なかぎ
《堂の中央に安置することから》斎宮忌み詞で、仏。
釈迦の―金銅かねの像」〈北野本欽明紀〉

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精選版 日本国語大辞典 「中子」の意味・読み・例文・類語

なか‐ご【中子・中心】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物の中央部。中心。しん。〔観智院本名義抄(1241)〕
    1. [初出の実例]「火鉢の炭火で炊いた行平の中子のできた飯を」(出典:途上(1932)〈嘉村礒多〉)
  3. ( 堂の中央に安置するところから ) 斎宮(さいぐう)の忌詞(いみことば)で、仏をいう。
    1. [初出の実例]「釈迦の仏(ナカコ)の金銅像一躯」(出典:日本書紀(720)欽明一三年一〇月(北野本訓))
  4. 瓜類の種のある肉の部分。また、柑橘類の肉の部分。
    1. [初出の実例]「杜若心(ナカコ)を抽(ぬ)きいで長し」(出典:白氏文集天永四年点(1113)三)
    2. 「瓜のなかご数百荷」(出典:浮世草子・貧人太平記(1688)中)
  5. 転じて、物の中にあるもの。中身。
    1. [初出の実例]「瓢(ひさご)に中子(ナカゴ)を入れて、一方には毒ある酒を蔵(おさ)め」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)後)
  6. 刀剣の柄(つか)の中にはいる部分。目釘の穴や、銘のある部分。
    1. [初出の実例]「中心(なかご)きりたる刀、又無銘の太刀」(出典:大内問答(1509))
  7. (やじり)篦被(のかずき)より内側の篦中にはいる部分。
    1. [初出の実例]「筈本迄中子(ナカゴ)を打徹(とほ)しにして」(出典:太平記(14C後)一五)
  8. 入子(いれこ)作りになっているものの中のもの。重箱や飯盒などの容器の中にはめこんである小さいうつわ。
    1. [初出の実例]「飯盒の中子(ナカゴ)に」(出典:笹まくら(1966)〈丸谷才一〉四)
  9. 葦の茎の中の柔らかい紙のような皮。
  10. 空洞の鋳物を作る時、空洞となる部分に入れる鋳型。

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百科事典マイペディア 「中子」の意味・わかりやすい解説

中子【なかご】

中空部分のある鋳物をつくるとき,鋳型の中に置いて中空部分を形成させる中型。溶融金属で囲まれるため,砂の焼付け,ガス発生など鋳造欠陥を起こしやすいので,材料,乾燥法などを主型より慎重にする。中子は鋳型の一部またはケレンと呼ぶ支持具でささえる。
→関連項目遠心鋳造造型機

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中子」の意味・わかりやすい解説

中子
なかご
core

鋳物の中空部あるいは孔(あな)などをつくるときに、鋳型(この場合はとくに主型(おもがた)という)とは別につくり、外型内に収める砂型。中子は大部分が溶湯に取り囲まれるので、溶湯流に耐える強度、耐熱性、凝固収縮を可能にするための可縮性、中子から発生するガスを排除するための通気性、製品の内部から砂を取り除きやすくするための崩壊性など、主型以上に多くの要求がなされる。

[井川克也]

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改訂新版 世界大百科事典 「中子」の意味・わかりやすい解説

中子 (なかご)

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普及版 字通 「中子」の読み・字形・画数・意味

【中子】ちゆうし

次子。

字通「中」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の中子の言及

【鋳物】より

…(1)鋳物設計 鋳型の作製,鋳物の健全性(欠陥のない製品),経済性などを考慮して,鋳物製造の全工程を設計する。(2)鋳物方案 どのような鋳型と中子をつくり,溶湯をどこから,どのように流し込むかなどを考えて方策を立案すること。鋳型各部の名称を図2に示す。…

【鋳金】より

…鋳型作製,金属の溶解鋳込み,仕上げの3工程に分けられる。鋳込みと仕上げの工程は共通するが,鋳型の作製には差異があり,中空の器物を作るには雌型(めがた)(外型(そとがた))と雄型(おがた)(中型(なかご),中子(なかご))を必要とする。鋳金の技術としては,おおむね以下の鋳造法がある。…

※「中子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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