忌避関係(読み)きひかんけい(英語表記)avoidance relationship

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「忌避関係」の意味・わかりやすい解説

忌避関係
きひかんけい
avoidance relationship

特定行為が禁止されている二者間の関係をいう。社会の成員間には,両者の社会的距離にふさわしい行動規範体系が設けられており,忌避関係では,その規範を守ることが厳くし義務づけられている。たとえば,一緒に食事をしない,個人名を呼ばない,居住地域に入らない,わいせつな言葉を口にしないなど,非常に細かい禁止事項が適用され,しかもそれを怠った場合には重罰が課せられる。このような忌避関係は,特に姻戚関係にある者同士の間や異なる性別の間に見られ,また関係は終生続くのが普通である。アフリカ部族社会を中心に,世界各地に見られる。忌避関係と対をなす関係に「冗談関係」がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「忌避関係」の意味・わかりやすい解説

忌避関係 (きひかんけい)

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世界大百科事典(旧版)内の忌避関係の言及

【カンバ族】より

…嫁入婚に際しては,牛,羊,ヤギなどの家畜と現金からなる花嫁代償(婚資)が花婿の側から花嫁の親族に支払われる。カンバ社会における忌避関係と冗談関係は,日常生活の諸活動に深く根をはっている。忌避関係は尊敬と畏敬を基調とする親子の間にみられ,とくに性を異にする父と娘,母と息子は互いに身体接触を避け,性的な会話をかわしてはならない。…

【冗談関係】より

…世界各地に分布するが,忌避と対照しつつ相ともなって現れるのが普通である。 忌避関係avoidance relationshipは冗談関係とは反対に相手を避けねばならない場合をいう。一般に敬意の表現と考えられるが,たとえば道で出会った時は互いに脇によけて相手を見たり接近することを避け,話をかわす場合には直接対話せずに人を介したり近くにいる犬などに話しかける形式をとったりする。…

【孫】より

…孫とは2世代下の子孫の総称であり,日本人はこれを内孫(うちまご)と外孫(そとまご)に区別している。内孫とは婿養子の場合を除いて一般に男の子どもたちの子をいい,外孫とは婚出した子どもたちの子をさす。嫁入婚を基礎とする典型的な3世代家族は祖父母から見れば内孫と同居し,外孫とは同居しない家族形態であるが,婿入婚を基礎とする場合には逆に内孫と別居し,外孫と長く同居する例がある。孫との同居という視点から日本の家族構造を見ると,孫との同居をともなう拡大型や直系型の家族,孫との同居を忌避する核心型家族に分けることができる。…

※「忌避関係」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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