デジタル大辞泉 「念無し」の意味・読み・例文・類語 ねん‐な・し【念無し】 [形ク]1 無念である。残念である。「覚範一の矢を射損じて、―・く思ひなして」〈義経記・五〉2 容易である。たやすい。「夜昼三日が間に、―・く掘り崩してけり」〈太平記・七〉3 予想外である。思いがけない。「これは―・う覚えて候」〈謡・丹後物狂〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「念無し」の意味・読み・例文・類語 ねん‐な・し【念無】 〘 形容詞ク活用 〙① それに考えを及ぼすことがない。考慮することがない。[初出の実例]「射をとさむ事は無下に安けれ共、是ほどの剛の者を念(ネン)なふうしなはん事、情なかるべし」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)② 無念である。残念である。口惜しい。後悔する。[初出の実例]「結題をばよくよく思ひ入れて題の中を詠ずればこそ興もある事にてあれ、近代の様は念なき事也」(出典:後鳥羽院御口伝(1212‐27頃))③ 容易である。たやすい。簡単である。[初出の実例]「夜昼三日か間に、念(ネム)なく掘崩してけり」(出典:太平記(14C後)七)④ 思いがけない。意外である。多く、期待していた以上の好結果の場合に用いる。[初出の実例]「ねんなく御辺はせられて候物かな」(出典:義経記(室町中か)三)「念なう兜を奪ひ取り、某に渡されしは、名を捨てて忠義を立つる古今の忠臣」(出典:浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)六)⑤ 心残りがない。[初出の実例]「亡君のうらみを報ひ、ねんなふこそ泉岳寺へ引とりたり」(出典:俳諧・新花摘(1784)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例