新花摘(読み)シンハナツミ

デジタル大辞泉 「新花摘」の意味・読み・例文・類語

しんはなつみ【新花摘】

江戸後期の発句俳文集。1冊。与謝蕪村著。寛政9年(1797)刊。俳句のほか怪異談が多く、俳論見聞録なども収録

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精選版 日本国語大辞典 「新花摘」の意味・読み・例文・類語

しんはなつみ【新花摘】

  1. 発句・俳文集。一冊。与謝蕪村著。挿絵月渓。寛政九年(一七九七)刊。天明四年(一七八四)跋。安永六年(一七七七)一夏中の発句を書きとめようとして四月八日から記録しはじめたものだが、病気のため中断後半を随筆風な文で継続した。俳論をはじめ見聞録や怪異談を収める。

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改訂新版 世界大百科事典 「新花摘」の意味・わかりやすい解説

新花摘 (しんはなつみ)

俳諧句文集。与謝蕪村著。1797年(寛政9)刊。蕪村は其角の《華摘》にならって亡母追善の夏行(げぎよう)を発起し,1777年(安永6)4月8日より発句1日10句の詠を続けたが,16日間で中絶,その後余白を利用して関東や丹後の修業時代の回想的諸話を俳文に仕立てた。これに月渓の挿絵7葉を加えて没後出版したもの。発句編は137句で,鎮魂の情を秘めるものの,華麗な秀句が多く,ことに若葉牡丹,鮓(すし)の群作が際だつ。文章編では浪漫性ただよう五つの狐狸談を中にすえ,始めと終りに其角にちなむ話を置いて構成に配慮し,《宇治拾遺物語》の影響のみえる文体洒脱である。全体として句と文が豊かに響きあい独特の名品を成す。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新花摘」の意味・わかりやすい解説

新花摘
しんはなつみ

江戸時代後期の俳書与謝蕪村著。月渓画,跋。大本1冊。寛政9 (1797) 年刊。蕪村は安永6 (77) 年夏,其角の『花摘』にならい,おそらく亡母追善のために,1日 10句をつくる夏行 (げぎょう) を思い立ち,16日間 128句までおおむね実行したが,あとは所労のため7句を追加しただけで中絶した。その後落ち着いてから,これに京都定住以前の回想談,すなわち其角の『五元集』に関する話,骨董論,5つの狐狸談,其角の手紙の話などを加えたもの。蕪村没後の天明4 (84) 年,冊子であった自筆草稿を巻子本 (かんすぼん) にする際,月渓の挿絵と跋文を加え,さらに 13年後に原本を模刻出版した。発句と俳文とが調和した蕪村の傑作。

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