思過(読み)おもいすごす

精選版 日本国語大辞典 「思過」の意味・読み・例文・類語

おもい‐すご・す おもひ‥【思過】

〘他サ五(四)〙
① (「すごす」は、なくしてしまうの意) 心にとめないで忘れる。冷淡にうち捨てておく。おもいすぐす。
万葉(8C後)一四・三五六四「小菅(こすげ)ろの浦吹く風のあどすすか愛(かな)しけ児ろを於毛比須吾左(オモヒスゴサ)む」
② 過度に愛する。〔日葡辞書(1603‐04)〕
仮名草子伊曾保物語(1639頃)下「我が身より大切におもひすごしたる友とは、財宝のことなり」
③ 余計なことまで考える。とりこし苦労する。考えすぎる。
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)下「その悲しさはどふあらふ今からおもひすごされて」

おもい‐すぐ・す おもひ‥【思過】

〘他サ四〙
※万葉(8C後)一七・四〇〇三「雲ゐなす 心もしのに たつ霧の 於毛比須具佐(オモヒスグサ)ず 行く水の 音もさやけく」
② 思いながら月日を過ごす。悩みつつ暮らす。
※夜の寝覚(1045‐68頃)四「ちぢの憂きふしをあまり思ひすぐしきて」

おもい‐す・ぐ おもひ‥【思過】

〘自ガ上二〙 (「すぐ」は、過ぎ去ってなくなるの意) 恋い慕う気持がなくなる。
※万葉(8C後)一七・四〇〇〇「片貝川の 清き瀬に 朝よひごとに 立つ霧の 於毛比須疑(オモヒスギ)めや」
曾我物語(南北朝頃)一「別れは人ごとのことなれども、思ひすぐればおのづから忘るる心のあるぞとよ」

おもい‐すごし おもひ‥【思過】

〘名〙 考えすぎること。余分のことまで考えてくよくよすること。おもいすぐし。
洒落本傾城買二筋道(1798)冬の床「ゆくすへがおもひすごしがしられて、あんじられるから」

おもい‐すぎ おもひ‥【思過】

〘名〙 実際以上にそうだと思うこと。
煤煙の臭ひ(1918)〈宮地嘉六〉一「勿論それは彼の思ひ過ぎでもあった」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「思過」の読み・字形・画数・意味

【思過】しか

反省する。

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