ばい‐えん【煤煙】
[1] 〘名〙
燃料を燃やしたときに出るすすと煙。多くは燃料が不完全
燃焼したとき発生する
炭素やタール分などが浮遊しているもの。
※おとづれ(1897)〈
国木田独歩〉上「都の空は煤煙
(バイエン)たなびき」 〔
本草綱目‐水亀集解〕
すす‐けむり【煤煙】
※桐の花(1913)〈
北原白秋〉哀傷篇「煤烟
(ススケムリ)たなびく
もとに
葛飾の青茶畑ははるばると見ゆ」
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デジタル大辞泉
「煤煙」の意味・読み・例文・類語
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ばいえん【煤煙】
不完全燃焼で発生する炭素分やタール分を含む大気汚染物質の総称。とくに石炭の燃焼によって発生し,この場合には石炭中の硫黄分による硫黄酸化物が混在する。かつてはその濃度をリンゲルマン・スモークチャートなどによる煙の黒さで表していたが,近代工業の発展とともに物質の種類が増え,現在は各種の有害物質の単体の濃度を測定するようになっている。ばい煙による影響は,家屋や洗濯物の汚れ,植物の枯死などにとどまらず,人体への影響としてはロンドンスモッグにみられた急性呼吸器病があり,さらに近年では慢性気管支炎や肺癌などの疾患の原因となることも知られている。
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煤煙
ばいえん
smoke
燃焼によって発生するもので,一般には粉塵,すす,亜硫酸ガス,一酸化炭素などをいう。法的には大気汚染防止法 2条によって次のとおり定義されている。 (1) 燃料その他の物の燃焼に伴い発生する硫黄酸化物,(2) 燃料その他の物の燃焼または熱源としての電気の使用に伴い発生する煤塵,(3) 物の燃焼,合成,分解その他の処理 (機械的処理を除く) に伴い発生する物質のうち,カドミウム,塩素,フッ化水素,鉛その他の人の健康または生活環境にかかわる被害を生じるおそれがある物質で政令で定めるもの。
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普及版 字通
「煤煙」の読み・字形・画数・意味
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煤煙
北方謙三の長編ハードボイルド小説。2003年刊行。
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世界大百科事典内の煤煙の言及
【大気汚染】より
…第1の段階は人類が火を制御しだした以降である。料理や暖房のとき発生したばい煙,廃棄物から発生した悪臭や細菌性浮遊物に悩まされたことが想像できよう。しかし主たる燃料は木材であって,大気汚染は局所的かつ軽微であった。…
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